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胃炎

胃炎とは

胃炎とは、胃の粘膜に発生した炎症の状態を指します。この炎症は、強い刺激物の摂取やストレスなどにより胃粘膜のバリア機能が低下し、粘液の保護作用が働かなくなることで引き起こされます。胃粘液は、粘膜の表面を覆い、潤滑性を保ちながら、消化中の食物が直接粘膜に触れて生じる損傷から保護する役割を担っています。胃炎には、「慢性胃炎」と「急性胃炎」の二つの主要なタイプがあり、その原因や症状は異なります。放置すると、胃炎は胃潰瘍や胃がんへと進行するリスクがあるため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。

胃炎の原因・メカニズム

胃炎の原因①:薬剤

胃炎の主要な原因の一つは、薬剤による副作用です。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期間の服用は胃炎を引き起こすリスクを高めます。NSAIDsは、アスピリン、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシンなど多岐にわたり、その作用によってプロスタグランジンの産生が抑制されます。プロスタグランジンは胃粘膜を保護する役割を持ち、その産生が抑制されることで胃酸の分泌が増加します。その結果、胃粘膜のバリア機能が弱まり、胃炎の発症とつながるわけです。このため、NSAIDsを長期間服用する場合は、胃炎をはじめとする胃の問題に注意し、必要に応じて医師と相談することが重要です。

胃炎の原因②:ストレス

胃炎は、過度なストレスや過労が引き金となって起こることがあります。ストレスが自律神経の働きに影響を及ぼし、自律神経のバランスの崩れが胃の機能に悪影響を与えます。具体的には、過剰な胃酸が分泌されることで胃粘膜がダメージを受け、また胃の粘液の分泌が抑制されることにより、本来のバリア機能が低下します。この結果、気分の落ち込み、喉の違和感、胸やけ、胃痛などの症状が現れることがあります。ストレスを適切に管理することは、神経性胃炎を含む多くの健康問題を予防するためにも重要です。

胃炎の原因③:ピロリ菌感染

慢性胃炎の約80%がピロリ菌感染によるものとされています。このタイプの胃炎は、特に萎縮性胃炎と呼ばれます。ピロリ菌は、胃酸の強い酸性環境下でも生存することができる非常に順応性の高い菌です。この菌はウレアーゼという酵素を排出し、周囲にアルカリ性のアンモニアを生成することで、胃酸を中和しながら生息します。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、炎症を引き起こし、その結果、胃炎が発生します。

顕微鏡で観察すると、ピロリ菌に感染した胃では「発赤」や「ヒダの肥厚」といった症状が見られます。これらの症状は、胃粘膜に炎症が生じていることを示しています。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症している患者にもピロリ菌の感染がしばしば見られるため、これらの疾患と胃炎の関連性にも注意が必要です。

胃炎の原因④:暴飲暴食

暴飲暴食、アルコールの過剰摂取、不規則な食事時間、喫煙、睡眠不足などは、胃の粘膜に負担をかけ、胃炎を誘発する可能性が高まります。脂っこい食べ物や刺激的な香辛料、カフェインや炭酸飲料の多用は、胃酸の過剰分泌を促し、胃の粘膜を刺激して炎症を引き起こす原因になりえます。

睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、それが胃酸の過剰分泌につながることがあります。また、喫煙は胃粘膜内の血流を悪化させ、酸欠状態に陥りやすくすることで、胃粘膜の抵抗力を低下させることが知られています。これらの生活習慣は、長期的に見て胃潰瘍や胃がんへのリスクを高めることも指摘されています。そのため、健康的な生活習慣を心がけることが、胃炎の予防には非常に重要です。

胃炎の症状

急性胃炎の症状

急性胃炎は突然の症状発症が特徴であり、患者にとって自覚しやすい症状が多いです。上腹部の痛みや胃痛、吐き気、胸焼け、不快感、膨満感などの消化器系の不快症状を引き起こし、症状が重い場合は吐血や下血が見られることがあります。通常、急性胃炎の症状は軽度であれば2~3日で和らぐことが多いです。しかし、嘔吐や持続的な不快感がある場合、症状がなかなか改善しない場合は注意が必要です。これは、胃炎が他の深刻な病気のサインである可能性があるため、早期の医師の診察を受けることをおすすめします。

慢性胃炎の症状

慢性胃炎は、数ヶ月から数年にわたって続く胃粘膜の炎症の状態を指します。慢性胃炎は、急性胃炎とは異なり、多くの場合自覚症状が少ないか、全くないことが特徴です。そのため、定期的な健康診断や胃の不快感が続く場合の検査によって初めて確認されることがあります。慢性胃炎の自覚症状としては、空腹時や夜間に感じる胃痛、胸焼け、胃もたれ、膨満感、ゲップ、食欲不振などが挙げられます。これらの症状は日常生活に影響を及ぼすことがあり、特に慢性胃炎が長期にわたって続く場合は、胃がんのリスクが高まるとされています。それは、慢性的な炎症が胃粘膜の変性を引き起こし、最終的には胃がんへと発展する可能性があるためです。

胃炎に有効な施術・治療方法

薬物療法

胃炎の薬物療法では「胃酸分泌抑制薬」「胃粘膜保護薬」「運動機能改善薬」の三つの薬物療法が一般的な方法です。

胃酸分泌抑制薬は、胃酸の過剰な分泌を抑えることで胃粘膜への刺激を減らし、炎症の悪化を防ぎます。プロトンポンプ阻害薬(例:オメプラゾール、ランソプラゾール)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(例:シメチジン、ファモチジン)が含まれます。

胃粘膜保護薬は、胃の粘膜を物理的に保護し、胃酸やその他の刺激物質から胃粘膜を守ることで防御機能を強化します。この種の薬剤には、スクラルファートやメチルメチオニンスルホニウムクロライドなどがあります。

運動機能改善薬は、胃の運動機能を正常化し、胃内容物の排出を促進することで症状の緩和を図ります。これにはメトクロプラミドやドンペリドンなどが該当します。

ピロリ菌除去治療

ピロリ菌除去治療は、ヘリコバクター・ピロリ菌の陽性反応が確認された方を対象に行われる治療法です。この治療は、胃酸の分泌を抑制する薬剤と抗菌薬を組み合わせた7日間の投薬療法を基本としています。治療終了後、約2ヶ月以上の期間を置いてから尿素呼気試験などの再検査を実施し、除菌の成功か失敗かを判断します。もし初回の除菌が成功しなかった場合には、2回目の除菌治療が可能です。

1回目の除菌治療の成功率は大体70〜90%程度であり、もし必要となった2回目の治療では成功率が80〜90%程度に上がると報告されています。しかしながら、ピロリ菌が除去された後でも、わずかながら再感染するリスクがあり、その確率は1~2%程度とされています。これは、治療後の胃炎の再発や再感染の可能性を指摘しており、ピロリ菌除去後も定期的な診断が非常に重要であることを示しています。ピロリ菌の除去は胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんのリスクを減少させることに貢献するため、陽性判定を受けた場合には適切な治療を受けることが推奨されます。

生活習慣の改善

胃炎の治療法として生活習慣の改善は重要です。胃酸の過剰分泌を促す可能性のある食材を避けることが、胃炎の症状を和らげるための有効な手段となります。特に、香辛料が多く含まれる食品(こしょうや唐辛子など)、甘味の強い食品(煮豆やまんじゅう)、塩分が高い食品(漬物や塩辛)、酸味が強いもの(酢の物や柑橘類)、そして嗜好品であるアルコールやカフェイン含有飲料は、できる限り控えるべきです。

また、適度な運動や十分な睡眠を確保することも、胃の健康には不可欠です。適度な運動は消化を助け、良質な睡眠は体の全般的な回復を促します。ストレス管理も非常に重要であり、ストレスが溜まると自律神経のバランスが崩れ、それが胃炎の症状を悪化させる原因になり得ます。ストレスを効果的に管理し、リラックスできる時間を設けることで、胃の健康を守り、胃炎のリスクを減らすことができます。

胃炎のよくあるご質問

Q胃炎にはどのような検査方法がありますか?

A胃炎の診断においては、患者の症状や胃炎の原因を特定するために、様々な検査方法が用いられます。特に、原因が明らかでない場合や慢性胃炎の疑いがある時には、内視鏡検査が有効です。内視鏡検査では、胃の内部を直接観察し、胃粘膜の状態、炎症の程度、病変の有無、さらにはヘリコバクター・ピロリ菌の感染状況を詳細に調べることが可能です。

内視鏡検査は、胃の中に細いカメラがついた柔軟な管を挿入し、直接胃粘膜を視覚化することによって行われます。この検査により、胃炎の原因や胃炎の型を特定し、適切な治療方針を決定するための重要な情報を提供します。また、検査中に異常な組織が見つかった場合には、その場で組織のサンプルを採取してさらに詳細な検査(生検)を行うことができます。この検査により、炎症だけでなく胃がんなどの重大な疾患を早期に発見することも可能となります。

Q胃炎の合併症や悪化した場合について知りたいです。

A胃炎(慢性胃炎)が長期にわたって続くと、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。慢性胃炎が進行すると、胃壁の持続的な炎症によって出血や潰瘍が生じることがあります。これらの合併症は、胃痛や消化不良、食欲不振といった症状を悪化させます。

さらに慢性胃炎が進行し、胃液や胃酸を分泌する組織が減少すると、「萎縮性胃炎」に至ることがあります。萎縮性胃炎は、胃粘膜の萎縮と機能の喪失を特徴とし、胃の正常な働きを大きく損ねることになります。更に進行すると、腸上皮化生(胃の内壁に本来存在しない腸の組織が形成される状態)が起こります。腸上皮化生は、一部が癌化する可能性があり、その結果、胃がんを発症するリスクが生じます。(ただし、腸上皮化生から胃がんへ進行する割合は全体の1%以下と報告されている)

Q胃炎は保険対象ですか?

A胃炎の診断と治療は、内視鏡検査を通じて胃炎が確認された場合、急性であれ慢性であれ、保険適用の対象となります。

しかし、胃炎の診断にあたり、内視鏡検査以外の方法で行われる一部の検査(例えば、抗体測定や尿素呼気試験など)は、保険適用外となることがあり、自費での支払いが必要になる場合がある点に注意が必要です。
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