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円形脱毛症

円形脱毛症の治療について

円形脱毛症とは

円形脱毛症は、頭部や体の特定部位で突然、円形や楕円形に毛髪が抜け落ちる自己免疫疾患の一種です。この疾患の最も顕著な特徴は、脱毛部位と健康な毛髪が生えている部位との間にはっきりとした境界が存在することです。脱毛の程度は人によって異なり、小さな脱毛斑が1つだけの単発型から、頭髪全体、眉毛、まつ毛、さらには全身の毛が抜け落ちる重症型まで様々です。
人口の約0.1~0.2%に発生し、一生のうちに発症する確率は約1.7%と報告されています。この病気は男女差がなく、全年齢層で発症する可能性があります。円形脱毛症の患者は、甲状腺疾患や尋常性白斑、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチなどの他の自己免疫性疾患を合併することがあります。また、そのほかの合併している例としてアレルギー疾患、特にアトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎などが挙げられます。

円形脱毛症

円形脱毛症の原因

自己免疫疾患

円形脱毛症は自己免疫疾患の一つであり、正常に機能すべき免疫システムが毛髪を形成する毛包を攻撃し、損傷することで発症します。免疫系のこの異常は、疲労や感染症などの肉体的・精神的ストレス、または体質的な要因によって引き起こされることがあります。具体的には、Tリンパ球が毛根を異物と誤認し、攻撃することにより毛根が損傷し、健康な髪の毛が抜け落ちるというプロセスを経ています。自己免疫疾患としての円形脱毛症は、外部の侵入者に対抗するはずの免疫機能が自己の体を攻撃することにより起こりますが、その具体的な発症機序はまだ完全には解明されていません。

アトピー素因

円形脱毛症患者の40%以上がアトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎など)を持つと報告されています。さらに、患者の半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因を持っているというデータもあり、アトピー素因と円形脱毛症との間に相関関係があることを示唆しています。

妊娠

妊娠と出産における女性ホルモンの急激な変動が円形脱毛症の原因の一つとなることがあります。妊娠中、女性ホルモン値は通常時の100倍以上に増加しますが、出産後は急速に通常の値に戻ります。

女性ホルモンには髪の成長を促進する作用があり、ホルモン値の減少は、発毛周期の乱れや抜け毛を引き起こします。特に産後3~4ヶ月は、頭髪全体のボリューム減少を伴う抜け毛が多くなることが知られていますが、この時期に円形脱毛症を発症するケースもあります。

さらに、アトピー素因を持つ女性では、妊娠と出産に伴うホルモンバランスの変化による円形脱毛症が加速されやすいというデータもあります。ホルモンバランスの変動だけでなく、出産後の育児の忙しさによる食生活の偏りや心身のストレスも、円形脱毛症の発症リスクを高める要因となり得ます。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症は複数の形態に分類され、それぞれ特徴と治療の難易度が異なります。

・単発性通常型:円形脱毛症の中で最も一般的なタイプで、頭髪に1か所、円形または楕円形の脱毛斑が現れます。このタイプは眉毛や体毛にも現れることがあり、発症年齢は幅広い層に及びます。約80%の患者が1年以内に治癒しますが、まれに多発性通常型に進行するケースがあります。
・多発性通常型:2か所以上の円形脱毛斑が発生し、これらが結合して拡大することもあります。完治には半年から2年程度要する場合が多く、治療が比較的長期にわたることが特徴です。
・全頭型:脱毛が頭部全体に広がり、最終的には頭髪が完全に抜け落ちるタイプです。非常に治りにくく、治療期間が長期に及ぶことが多いため、ウィッグの使用などで対応する必要があります。
・汎発型:最も重度のタイプで、頭髪だけでなく眉毛、まつ毛、体毛まで全身の毛が抜け落ちてしまいます。全頭型と同様に、治療が長期にわたるため、ウィッグなどの利用が推奨されます。
・蛇行型:脱毛斑が細長く結合し、後頭部から側頭部の生え際に沿って蛇行するように広がるタイプです。治療期間が数年に及ぶ場合があり、特に治療が困難なケースの一つです。

円形脱毛症の症状

円形脱毛の症状は、一つまたは複数の円状または楕円形の脱毛斑として現れ、頭部だけでなく、眉毛や睫毛、髭、体毛にも生じる可能性があります。この症状は突然現れることが特徴で、脱毛部分の縁周辺の毛が短く折れた状態、いわゆる「びっくりマーク」に似た形状を呈します。

初期症状としては、髪の毛が一気に抜け落ちることが挙げられ、この段階では痛みなどの自覚症状が伴わないため、気づかないことが多いです。脱毛斑の境界がはっきりしており、頭皮の地肌が見え始めるのも典型的なサインです。さらに、爪に点のようなへこみやでこぼこが生じる「爪甲点状陥凹(そうこうてんじょうかんぼつ)」が見られる場合もあります。

円形脱毛症の症状は個人差が大きく、初期症状で自然治癒するケースもあれば、症状が予想以上に早く進行するケースもあります。

円形脱毛症に有効な施術・治療方法

局所免疫療法

局所免疫療法は、円形脱毛症の治療法の一つで、脱毛部に人工的にかぶれを引き起こすことで局所の免疫状態を変化させ、発毛を促進する方法です。この治療法は、「SADBE療法」やカナカナ読みで「サドベ療法」とも呼ばれています。治療開始から2、3ヶ月で発毛効果が見られることが多く、有効率は60%以上とされています。

日本皮膚科学会の円形脱毛症に関するガイドラインでは、Bランクに推薦されており、評価の高い治療法の一つです。副作用としてはかゆみ・局所の赤み・腫れ・色素脱失・蕁麻疹・アトピーの悪化などの軽い症状が発生する可能性があります。

ステロイド局所注射

ステロイド局所注射は、円形脱毛症の治療法の一つで、脱毛部位に副腎皮質ステロイドを直接皮内に注射する方法です。この治療は一か月に1回程度の頻度で行われます。日本皮膚科学会の円形脱毛症のガイドラインでは、局所免疫療法と同じくBランクに推薦されており、一定の有効性が認められているといえます。注射に伴う痛みはありますが、全身的な副作用はあまりないとされており、他の治療法では効果が見られなかった患者に推奨されます。

治療の際、痛みを抑えるためには事前にリドカインやプロピトカイン配合クリームなどの局所麻酔薬を使用することがあります。しかし、繰り返しの注射は皮膚が薄くなるなどの副作用を引き起こす可能性があり、治療を受ける際には注意が必要です。特に、脱毛の範囲が広くない場合に有効であるものの、小児に対しては行いにくい面があります。

冷却療法

冷却治療は、液体窒素を脱毛部に適用し、軽めの凍傷を作ることにより、発毛を促す方法です。マイナス196°Cの液体窒素を脱毛部に刺激を与えることで、発毛促進効果を期待できます。冷却治療では、毛根部に集まったリンパ球(傷害性T細胞)が人工的な凍傷を起こした表皮部分に分散し、毛包部における炎症を鎮静化させます。ガイドラインでの冷却治療の推奨度はC1ではありますが、単発型および多発型の円形脱毛症における併用療法の一つという位置付けで推奨されています。

冷却治療には、ドライアイスや液体窒素を使用し、脱毛斑に直接当てたり、脱脂綿や綿棒で湿布したり、スプレーする方法があります。治療中や治療後に軽い痛みや赤みが生じることはありますが、手軽に行える上、副作用もほとんどありません。

円形脱毛症のよくあるご質問

Q円形脱毛症とAGAの違いは?

A
円形脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は、いずれも脱毛を引き起こす病気ですが、「原因・発症対象」「進行方法」などに大きな違いがあります。

原因・発症対象の違い: AGAは主に成人男性に発症し、男性ホルモンが大きな原因であるとされています。一方、円形脱毛症は自己免疫疾患が原因であり、男女問わず、小さな子どもから大人まで幅広い年齢層に発症します。

進行方向の違い: AGAはじわじわと薄毛が進行していくのに対し、円形脱毛症は突然、特定部位の毛髪が円形または楕円形にごっそりと抜け落ち、脱毛範囲の境界がはっきりしていることが特徴です。

さらに、AGA治療は主に保険適用外の自由診療が中心ですが、円形脱毛症の治療は健康保険が適用されることが多く、治療費の面でも違いがあります。

Q円形脱毛症の予防法は?

A
円形脱毛症の発症メカニズムは完全には解明されていませんが、ストレス、遺伝的体質、疲労など複数の要因が関係しているとされます。そのため、健康な体を作り、リスク要因を減らすことが、予防につながると考えられます。

円形脱毛症を予防するための具体的な方法には、以下のようなものがあります:

・ストレスをためない: ストレスは多くの健康問題の原因となり得ます。ストレスマネジメント技術を学び、リラクゼーションの時間を持つことが重要です。
・頭皮を清潔に保つ: 頭皮の衛生は健康な髪の毛の成長に欠かせません。定期的なシャンプーで頭皮を清潔に保ちましょう。
・顔ヨガ・頭皮マッサージをする: 血行を促進し、頭皮の健康を維持するためには、顔ヨガや頭皮マッサージが効果的です。
・適度な運動を心がける: 身体活動はストレスを軽減し、全体的な健康を促進します。適度な運動は血行を改善し、髪の成長に良い影響を与えます。
・食事で亜鉛や鉄分を意識して摂取する: 髪の健康に必要な栄養素をバランス良く摂取することが大切です。特に亜鉛や鉄分は髪の成長に重要なミネラルです。

生活習慣の改善は、円形脱毛症の予防だけでなく、全体的な健康維持にも役立ちます。十分な睡眠やバランスの取れた食事といった基本的な健康習慣を心がけることで、円形脱毛症のリスクを減らすことができるでしょう。
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