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肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)の治療について

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)とは

肝硬変は、肝臓の細胞が繰り返し損傷され、その修復過程で瘢痕(繊維)組織が形成されることで、肝臓全体が硬くなり正常な機能が失われる病態です。特に原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、自己免疫反応により肝臓内の小さな胆管が破壊されることで発症します。これにより胆汁の流れが滞り、肝細胞に損傷が蓄積して肝硬変へと進行します​。

PBCは主に中年女性に多く見られる疾患であり、初期症状としては疲労感やかゆみが挙げられます。病気が進行すると黄疸(皮膚や眼の黄変)、腹水(腹部に液体が溜まる)、肝性脳症(肝機能低下による毒素の脳蓄積)が現れます​ ​。診断は、血液検査や画像診断(超音波、CT、MRI)、肝生検などで行われ、抗ミトコンドリア抗体(AMA)の検出が特徴的です​。

治療には、ウルソデオキシコール酸(UDCA)などの薬物療法が用いられ、症状の進行を遅らせることが可能です。早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な健康診断や生活習慣の改善が、患者のQOLの向上に寄与するでしょう。

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)の原因

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の原因は完全には解明されていませんが、主に自己免疫反応が関与していると考えられています。この疾患は関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺炎などの自己免疫疾患の患者によく見られるため、免疫系が自身の胆管を攻撃することが原因であると推定されています。

PBC患者の95%以上に抗ミトコンドリア抗体(AMA)が血液中に存在することも、この疾患が自己免疫反応によって引き起こされると考えられる理由の一つです。これらの抗体はミトコンドリアを標的としますが、実際には胆管の破壊には直接関与していません。胆管は別の免疫細胞によって攻撃されているとされています 。

この免疫攻撃がどのようにして開始されるかはまだ明らかではありませんが、ウイルス感染や有害物質への曝露が誘因となる可能性があります。そのほか、遺伝学的背景や微生物感染、物理化学的因子、ストレスなどの環境要因が発症に関与することが推測されますが、この詳細も明らかになっていません。

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)の症状

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は初期段階では無症状であることが多く、長期間気づかれないことがあります。しかし、進行すると「かゆみ、慢性的な疲労感、口腔乾燥・ドライアイ」のような初期症状が現れることがあります。これらの症状は他の病気でも見られるため、PBCを発症しているかどうか見分けがつかないケースがあります。

病気が進行すると、以下のような一般的な症状が見られるようになります。
・皮膚が黒ずむ
・神経障害が発生する
・上腹部に不快感を覚える
・脂肪が皮膚やまぶたに蓄積し、黄色腫や眼瞼黄色腫が形成される
・黄疸(皮膚や白眼の部分が黄色くなる)
・浮腫(足首や足などに体液が溜まる)
・腹水(腹部に体液が溜まる)

PBCがさらに進行すると、肝硬変に至り、肝臓の機能が著しく低下します。この状態になると、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収が不十分になります。特にビタミンDの不足により骨粗しょう症が進行しやすくなります。ビタミンKの不足はあざや出血のリスクを高め、体が脂肪を吸収できないため便が異常に脂っぽくなり、悪臭を伴うようになります。また、PBCは個人によって進行速度が異なり、症状が数年間現れないこともあれば、急速に悪化することもあります。症状が現れた場合、早期の医療介入が重要です。

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)の検査方法

検査方法①:血液検査

血液検査では、PBC患者の場合、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)の値が高く、進行するとビリルビン値も上昇します。また、ほとんどのPBC患者において、血清中の抗ミトコンドリア抗体(AMA)と免疫グロブリンM(IgM)の値が高くなることが特徴です。これらの検査結果は、PBCの診断において重要な指標となります。

検査方法②:画像検査

超音波検査や磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP)が一般的で、これにより胆管の状態を詳細に確認します。これらの画像検査は、肝臓内外の胆管に異常や閉塞がないかを確認するために用いられます。

検査方法③:肝検査

肝生検は、肝臓の組織を採取して顕微鏡で観察する検査です。この方法は、PBCの確定診断や病気の進行度を評価するために有効です。

肝生検により、慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)の像や胆管消失が確認されれば、PBCの診断が確定します。特に、AMAが陰性の場合や、PBCと自己免疫性肝炎(AIH)のオーバーラップ症候群が疑われる場合には、肝生検が必須となります。

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)に有効な施術・治療方法

治療法①:内服薬治療

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の治療において、ウルソデオキシコール酸(UDCA)は第一選択薬として広く使用されます。UDCAは胆汁酸成分の一種であり、胆汁分泌を促進し、免疫調整作用を持つため、病気の進行を抑制する効果があります。

通常、初期段階では1日600mgの用量で投与され、効果が不十分な場合は1日900mgまで増量されます。UDCAの投与により、胆道系酵素(特にγ-GTP)の低下が見られ、病気の進展が抑制されることが確認されています。

UDCAに反応しない場合には、ベザフィブラートが併用されることがあります。ベザフィブラートは脂質異常症の治療薬として知られており、UDCAと併用することで短期的な生化学的改善効果が期待されます。ただし、ベザフィブラートはPBCに対する適応が正式には承認されていないため、高脂血症を伴っていない場合には適応外処方となります。

無症候性PBCの患者において、妊娠は問題ありませんが、妊娠初期にはUDCAやベザフィブラートの投与を避けることが望ましいとされています。一方、PBCの患者には、皮膚掻痒感の治療が必要です。この場合、抗ヒスタミン剤、陰イオン交換樹脂、ナルフラフィンなどが使用されます。皮膚掻痒感は患者の生活の質を著しく低下させるため、適切な管理が重要です。

治療法②:症状および合併症の治療

原発性胆汁性肝硬変(PBC)が進行して肝硬変に至ると、腹水や肝性脳症などの合併症に対する治療が必要となります。腹水は、肝臓の機能低下により腹腔内に液体が溜まる状態であり、利尿剤やアルブミンの投与、食事療法によって管理されます。一方、肝性脳症は肝臓の解毒機能が低下することで生じ、ラクツロースやリファキシミンなどの薬物療法が行われます。

病期が進むと、内科的治療だけでは限界が生じ、肝移植が必要となる場合があります。特に血清総ビリルビン値が5mg/dLを超える場合、肝移植の適応が検討されます。肝移植の成績に関しては移植後5年の生存率の場合、約80%に達しています。日本では脳死移植が少ないため、生体部分肝移植が広く行われており、その成績も欧米の脳死肝移植と同等の良好な結果を示しています。

肝硬変(原発性胆汁性肝硬変)のよくあるご質問

Q原発性硬化性胆管炎は難病ですか?

A
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、日本において指定難病の一つとされています。2018年に厚生労働省の研究班が行った全国疫学調査によると、全国のPBC患者数は推定約37,000名であり、人口10万人当たりの有病率は33.8%と報告されています。男女比は1:4.3で、好発年齢は女性では50歳代、男性では60歳代に多いとされています。

この疾患は、肝臓内の小さな胆管が免疫異常により障害を受けることが特徴です。初期段階では、胆汁の流れが一部滞る軽度の胆管炎が見られる程度ですが、病気が進行すると、多くの小さな胆管が破壊され、胆汁の流れがさらに悪化します。この結果、肝硬変や肝不全に至ることもあります。

PBCの原因は現在も完全には解明されておらず、根本的な治療法はまだ開発されていません。自己免疫反応が関与していると考えられており、免疫系が自身の胆管を攻撃することで炎症と破壊が引き起こされます。このため、厚生労働省により指定難病に認定され、患者は医療費助成などの支援を受けることができます。

Q原発性胆汁性胆管炎はなぜかゆみが出るのですか?

A
原発性胆汁性胆管炎の疾患が進行すると、胆汁が肝臓内に滞留し、その成分が血液中に逆流します。この結果として、ビリルビンなどの物質が血液に蓄積し、これが皮膚に沈着して強いかゆみを引き起こします。

ビリルビンが体内で分解される際に生じる物質が末梢神経を刺激し、かゆみの原因となります。特に、肝機能が低下すると、血液中の老廃物や毒素が十分に処理されず、それらが皮膚を通じて排出されようとする過程でかゆみが生じます。
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