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脂漏性角化症

脂漏性角化症の治療について

脂漏性角化症とは

脂漏性角化症、通称「老人性イボ」は、主に中年以降の人に見られる皮膚の良性の腫瘍です。皮膚の老化によって引き起こされるこの病気は、肌色から褐色、または黒色のイボのような増殖が特徴で、痛みやかゆみを伴うことはまれです。

この状態はウイルスによるイボとは異なり、通常のイボ治療薬での治療は効果がありません。皮膚にできる「できもの」や「イボ」には様々な種類が存在し、それぞれ異なる治療方法が必要です。脂漏性角化症はがんではなく、がん(悪性腫瘍)へと進行することもありません。しかし、見た目が似ている別の皮膚病の可能性もあるため、自己診断せず、専門の医師による診断を受けることが大切です。

脂漏性角化症

脂漏性角化症の原因

脂漏性角化症は、皮膚に出現する盛り上がったシミの一種です。その原因については、完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。

・加齢:年齢ととも発症率が高まる
・紫外線:日光暴露が発症率を高める。顔や手足など、日光に晒されやすい部位に発症する可能性が高い一方、胸やお腹など紫外線の影響を受けにくい場所にも現れる
・遺伝的な要素:同じ年齢層でも、脂漏性角化症の発生数には個人差があり、これが遺伝的な体質の影響を示唆している

このように脂漏性角化症の原因は多岐にわたり、一概には言えません。しかし、紫外線対策や健康的な生活習慣を心掛けることで、発症リスクを抑えられる可能性があります。

脂漏性角化症の症状

脂漏性角化症の症状は、肌の表面に少し盛り上がった茶色から黒色のざらついたできものとして見られます。色は健康な肌に近いものから濃い黒色まで様々で、大きさも数ミリから2〜3センチ程度に及びます。形状もさまざまで、わずかに盛り上がるものからしこりのように突出したものまであります。

特に顔や手の甲など日光にさらされることが多い部位に現れやすいことが指摘されています。老人性イボとも呼ばれるこの症状は、がん(悪性腫瘍)ではありませんが、見た目が黒色種などの皮膚がんと似ているため、適切な診断が必要とされます。また、かゆみやヒリヒリ感を伴うことがありますが、症状が全くない場合もあるため、気にせずに生活している方もいます。

脂漏性角化症の4つの治療法

治療法①:冷凍凝固術

冷凍凝固術とは-196℃の液体窒素を使用し、異常な表皮細胞を凍らせて破壊することで病変を除去します。治療後は、病変部がカサブタになり、数日で自然に剥がれ落ちるのが特徴です。

治療は比較的簡単で、患者様の負担も少ないと言えます。ただし、治療後には痛みを感じることがあり、場合によっては炎症後色素沈着が半年から2年程度残ることがあります。特に顔の治療では、この色素沈着が美容上の問題となることがあるため、慎重な治療が求められます。

冷凍凝固術は保険適用で、費用の面でも安心です。また、治療には経験が必要であり、強く冷凍すると瘢痕が残るリスクがあるため、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療が大切です。ダウンタイムはほとんどなく、生活に大きな影響を与えることはありませんが、何度か通院が必要になることもあります。

治療法②:炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは皮膚の異常な細胞を正確に取り除くことができ、治療後の回復期間も比較的短いです。また、切除手術に比べ出血が少なく、痛みも軽減されます。

炭酸ガスレーザーの光は皮膚の水分に吸収され、熱エネルギーに変わって細胞を蒸発させます。これにより、脂漏性角化症だけでなく、ほくろや疣贅などの良性腫瘍の除去も可能になります。治療中の出血が少ないため、手術後の回復もスムーズです。

さらに、深部組織や周りの健康な皮膚にダメージを与えることなく、脂漏性角化症を取り除くことができるため、キズ跡が残りにくく、美しい仕上がりが期待できます。治療後の色素沈着も抑えられ、数ヶ月で自然に回復することが多いです。

治療法③:Qスイッチヤグレーザー

Qスイッチヤグレーザーは、脂漏性角化症が軽い症状である場合に有効な治療法です。色素が含まれている部分を完全に取り除くことができ、治療後に傷跡が残らない点が特徴です。

しかし、隆起が強く厚みのある脂漏性角化症には、表皮基底細胞が残ることがあり、再発する可能性も指摘されています。Qスイッチヤグレーザーは532nmと1,064nmの2種類の波長を活用し、皮膚の深さに応じて症状を取り除きます。また、レーザー照射による熱の影響でコラーゲンが生成され、毛穴の引き締めにも寄与します。

この治療法は、正常な皮膚組織にダメージを与えず、特定の異常色素細胞のみを選択的に除去するため、治療後は一時的にかさぶたができますが、新しい皮膚が再生し、しみやあざが目立たなくなります。治療後は、数日間は夜に軟膏やテープを使用し、日中はコンシーラーでカバーすることで、社会生活に支障をきたさずに済みます。

治療法④:電気焼灼法や電気メスでの切除

電気焼灼法や電気メスによる切除は、特定の電流を使って脂漏性角化症の組織を剥ぎ取ったり、焼却したりする治療法です。

電気メスでは、高周波の電流でイボなどを焼き切ります。治療は短時間で完了し、ダウンタイムも比較的短いため、忙しい方にも向いています。ただし、施術後には凹みが生じることがあり、完全に皮膚が平らになるまでには時間がかかります。

脂漏性角化症の3つの予防法

予防法①:紫外線対策

予防の鍵は、紫外線から皮膚を守ることにあります。紫外線は皮膚の老化を促進し、様々な皮膚疾患のリスクを高めます。

まず、外出時にはSPF30以上の日焼け止めを使用し、2〜3時間ごとに塗り直すことが大切です。紫外線は思いがけないタイミングで皮膚にダメージを与えるため、日焼け止めは室内にいる時も塗ることが推奨されます。

また、広いつばの帽子や長袖の衣類を着用することで、直接的な日光の影響を軽減できます。UVカット機能のある衣服も市販されており、野外での活動が多い方には特にオススメです。

予防法②:積極的にビタミンを取り入れた食生活にする

ビタミンを摂取することで皮膚の健康を維持し、様々な皮膚病のリスクを減少させます。特に抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eは皮膚の健康維持に重要な栄養素です。

・ビタミンA:皮膚の再生を助け、健康な皮膚を維持します。加えて免疫系の正常な機能にも関与しており、皮膚を病原体から保護する役割も担っています。ビタミンAを多く含む代表的な食品は、レバー、魚の油、卵、乳製品、緑黄色野菜(ほうれん草やニンジンなど)です。
・ビタミンC:強力な抗酸化作用があり、皮膚のダメージから保護します。また、コラーゲンの生成を促進し、皮膚の弾力性や修復を支える役割を担っています。ビタミンCは柑橘類の果物、キウイ、イチゴ、ピーマン、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。
・ビタミンE:皮膚の細胞膜を保護し、紫外線などの外的要因によるダメージから皮膚を守ります。ビタミンEはアーモンド、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、野菜油(特にひまわり油やアーモンドオイル)といった食品に含まれています。

これらのビタミンをバランス良く摂取することで、皮膚の健康をサポートし、脂漏性角化症などの皮膚病の予防が期待できます。

予防法③:定期的な皮膚チェック

定期的な皮膚のチェックは、脂漏性角化症の予防と早期発見に非常に重要です。皮膚の変化に注意を払うことで、異常が初期段階であればあるほど、適切な対処が可能になります。まずは日々鏡で見ながらセルフチェックをしましょう。特に、日常的に見えにくい背中や頭皮なども忘れずに確認することが重要です。既存のもので形や色が変わったもの、サイズが大きくなったものなどに注目してください。

次に、専門の皮膚科医に相談しましょう。専門医は、その変化が脂漏性角化症かどうかを判断し、必要に応じて適切な治療法を提案してくれます。また、脂漏性角化症のチェックに限らず、定期的な検診が受けられると良いでしょう。

脂漏性角化症のよくあるご質問

Q脂漏性角化症が自然に消えることはありますか?

A
脂漏性角化症が自然に消えることはありません。また、良性腫瘍であること、自覚症状がほとんどないことから、放置していても問題はないのでご安心ください。
ただし、顔などの目立つ部位にできやすいため、ボディーイメージの変化や美容的観点から治療したいと考える方が多いようです。

Q脂漏性角化症が再発することはありますか?

A
治療後、脂漏性角化症の細胞が表皮基底に残ると、数ヶ月〜数年(場合によっては5年程度)に再発する可能性があります。再発の可能性があるからこそ、日頃からの予防が重要です。
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