原因①:加齢変化
加齢とともに皮膚の保湿能は低下します。皮膚の保湿には皮膚の最外層の表皮にある皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質が関係しています。皮脂膜と呼ばれる目では見えない脂で覆われ、表皮細胞の間に角質細胞間脂質があることで、保湿や外敵(外部からの異物)の通過を防ぐバリア機能を維持しています。皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質が加齢とともに減少し、湿疹・乾燥肌(皮脂欠乏症)の原因になるのです。
また、アトピー性皮膚炎の方のように元から保湿能が弱い人もいるため、これらの条件が重なり皮脂欠乏症になると考えられます。
原因②:外的刺激
外的刺激により湿疹・乾燥肌(皮脂欠乏症)になる場合もあります。
例えば、外的刺激には以下のものが挙げられます。
・紫外線による角質へのダメージ
・タオルなどの摩擦刺激
・過度なスキンケア(洗いすぎ)
・洗浄剤やお湯で皮脂が流される
・エアコンなどで乾燥
外的刺激は症状の悪化を招く要因です。皮脂は皮膚を保護し、水分を蓄え、外部からの刺激や微生物の侵入を防ぐ役割を果たします。しかし、これらの外的刺激により皮膚のバリア機能が低下すると、皮脂欠乏症の症状を悪化させることになります。そうならないためにも外的刺激を最小限に抑えつつ、日常的に十分な皮膚ケアをしておくことが重要です。
原因③:ストレス
通常、肌のターンオーバーは、約6週間サイクルで行われます。
しかし、ストレスが溜まると血管が縮まり肌の温度が低下するため、皮膚のターンオーバーが乱れてセラミドなどの保湿成分の産生が遅れます。また、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加すると、これが皮脂腺の活動を抑制します。皮脂が不足することで皮膚のバリア機能が低下し、乾燥やかゆみなどの症状が悪化するでしょう。
原因④:病気や治療の影響
アトピー性皮膚炎・糖尿病・腎臓病などの病気が原因で湿疹・乾燥肌(皮脂欠乏症)が出現・悪化する可能性があります。
例えば、糖尿病なら「高血糖によるい脱水状態」「自律神経の乱れにより汗をかきにくくなる」ことで乾燥肌になりやすいことが挙げられます。加えて、糖尿病の方は皮膚がぜい弱になり、乾燥や皮膚からの感染症など皮脂欠乏症を悪化させる可能性が高まります。
抗がん剤治療などの影響で皮脂欠乏症になることもあります。化学療法や分子標的治療薬、免疫治療薬による副作用として、皮膚の乾燥やひび割れ・かゆみなどの症状が現れるのです。