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虫刺され

虫刺されの治療

虫刺されとは

蚊やブヨ、ダニ、そしてノミや毒を持つハチやムカデなど、様々な虫による刺し傷が皮膚炎を引き起こします。これを医学的には「虫刺症」と呼びます。虫に刺されると、その毒液や唾液成分が皮膚に侵入し、炎症を引き起こします。この炎症は、異物に対する身体の防御反応です。

虫刺されによるアレルギー反応には、即時型と遅延型があります。即時型は刺された直後から数時間で治まるかゆみや発赤、腫れを引き起こし、遅延型は翌日以降に現れるかゆみや発赤、ブツブツが数日から1週間程度で軽快します。注入された毒の種類や量、アレルギーの有無、そして個人の年齢や体質によって、症状の程度には個人差があります。

春から秋の虫の活動が活発になる時期に、虫刺されのリスクが高まります。この季節、特に無防備な状態で野山や草むらを訪れると、虫の標的になりやすいのです。

虫刺され

虫刺されの原因

虫刺されの原因は、虫に刺されたあと体内でアレルギー反応を起こすことです。虫に刺されるとかゆみや痛み、そして赤みといった形で現れます。これらは全て虫の毒成分や唾液に含まれるアレルゲンが人間の体内で抗体と反応し、ヒスタミンなどの物質が分泌されることによるものです。特にアレルギー体質の人では反応が強く現れることがあります。

虫刺されの原因となる生物は多岐にわたります。例えば、吸血性の蚊やブユ、ダニ、ノミから、毒針を持つハチ、毒毛を持つ毛虫、毒牙を持つムカデやクモに至るまで、私たちの身の回りには様々な種類が存在します。これらの生物による刺激は、皮膚炎を引き起こす主な原因として知られています。

虫刺されの9つの症状

症状①:蚊(か)

蚊が人を刺す際に皮膚に注入する物質に対する反応として、刺された箇所は赤く腫れ、かゆみを伴います。このかゆみは、刺されてすぐに感じる即時型反応と、1〜2日後に現れる遅延型反応の2つがあります。

多くの場合、症状は数時間で治まり、痕を残さず自然に回復します。しかし、中には赤みや腫れが数日間続く場合もあります。特に、露出部分である顔や手足を好んで刺すため、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

蚊に刺された場合、清潔に保ち、かゆみを抑えるための対策を取ることが重要です。

症状②:ハチ

ハチに刺されると、痛みや赤みが現れ、これはハチの毒が原因です。特にアシナガバチやスズメバチにより刺されるケースが多く、庭仕事やハイキングなどの外での活動中に注意が必要です。初めて刺された場合、症状は比較的軽く、数日で治まりますが、一度刺されるとアレルギー反応を起こす体質に変わることがあります。

再度刺された際には、ジンマシンや強い腫れが出ることがあり、ひどい場合はアナフィラキシーショックを引き起こす恐れも。アナフィラキシーショックは呼吸困難や意識消失を伴い、緊急の医療対応が必要となります。ハチに刺されたと感じたら、すぐに対処をし、異変を感じたら医師の診察を受けることが大切です。

症状③:ブヨ(ブユ・ブト)

ブユによる虫刺されは、見た目は蚊に似ていますが、その影響は大きく異なります。ブユは体長が2〜4mm程度の小さな昆虫で、特に高原や山間部でよく見られます。朝夕の涼しい時間に活動し、特に露出した肌を狙います。刺された瞬間は痛みやかゆみを感じにくいのですが、時間が経つにつれて赤い腫れや強いかゆみが現れます。特徴的なのは、皮膚をかじって吸血するため、出血点や内出血が見られることです。

蚊の刺し傷が数時間で治るのに対し、ブユの場合は腫れやかゆみが徐々に強くなり、赤いしこりや色素沈着を起こすこともあります。重症な方だと手が腫れ上がるほどの強い反応を示す人もいます。

症状④:ダニ(イエダニ)

ダニは一般に家の中や野外で遭遇することがあります。特に室内でよく見られるイエダニは、人を吸血する際、腹部や太ももの内側など柔らかい部位を好んで刺します。これにより、赤くかゆみの強い小さなしこりが多数現れ、その不快感は数日から1週間以上も続くことがあります。

対照的に、野外に生息するマダニは、草むらや樹木などで待ち伏せ、人が通ると吸血を始めます。マダニの刺し傷は初めは感じにくいですが、吸血後にかゆみや灼熱感が生じることがあります。

また、布団や畳で接触することの多いツメダニは、吸血はしませんが、間違って人を刺して体液を吸うことがあります。刺された翌日からかゆみや赤みが出始め、長引くかゆみが特徴です。

症状⑤:毛虫

毛虫には毒針毛と毒棘を持つ種類があり、接触することで皮膚炎を引き起こします。そして、け虫刺されによるアレルギー反応には、以下の2種類があります。

・即時型反応:刺された直後から強いかゆみや赤みが現れる
・遅延型反応:1〜2日後にかゆみや赤みが出るが現れる

ドクガ類の毛虫に刺されると、即時型反応・遅延型反応、どちらの反応も起こり得ます。具体的に言うと、刺された直後に強い痛みやかゆみが現れ、その後数日間経過して皮膚に丘疹と呼ばれるブツブツが現れます。一方の毒棘を持つ毛虫(イラガ類)に刺されると、即時型反応が起こります。具体的に言うと、接触した瞬間に激しい痛みを伴い、症状が顕著に現れます。

ただし、これらの症状は毛虫の毒成分に対するアレルギー反応によるもので、人によって反応の仕方が異なります。

症状⑥:ムカデ

ムカデの刺傷は、毒液によって即座に激しい痛みを感じることが特徴です。さらに、刺された部分は腫れ上がり、赤みが出ることも珍しくありません。この痛みは数時間持続することが多いですが、翌日にはかゆみやしびれが起こることもあります。

特に、ムカデの毒に対してアレルギー反応を示す人では、症状が重くなる可能性があります。蕁麻疹や呼吸困難、めまいなどの症状が現れた場合、または過去に刺された経験がある人は、念のため医療機関を訪れることをオススメします。

なお、ムカデの毒は42℃以上の熱に弱いため、刺されたら速やかに43℃程度の熱めのお湯で患部を15〜30分浸すと痛みが和らぎます。

症状⑦:クモ

クモに刺された場合は、見た目以上に注意しなければいけません。具体例は以下の通りです。

・セアカゴケグモ・カバキコマチグモ:痛みや腫れを引き起こし、個人によっては全身症状が現れる
・クロゴケグモ:刺された瞬間の鋭い痛みに始まり、周辺の感覚喪失や筋肉の硬直
・ドクイトグモ:咬み傷の周囲が赤くなり、水疱や瘢痕を残す

しかし、すべてのクモが危険というわけではありません。タランチュラのように見た目が恐ろしくても、咬まれても深刻な影響は少ない種類もいます。

症状⑧:ノミ

ノミによる虫刺されは、主にネコノミが原因で起こります。この小さな昆虫は、ネコやイヌなどのペットを宿主として選び、人間にも吸血のために接近します。被害に遭うと、刺された箇所には1〜2日後に赤く腫れ上がり、強いかゆみを伴うブツブツが現れます。特に、ネコノミに初めて刺された人では、症状が激しく、水ぶくれが形成されることも少なくありません。

ノミは屋内外を問わず、人の肌に容易に飛びつき、吸血行為を行います。室内ではペットが寄生源となり、露出した皮膚部分を中心に刺されることが多く、屋外では特に足元やスネがターゲットになります。刺された場所は複数箇所にわたることが一般的で、近くに複数の噛み跡が集まることもあります。

刺された後、かゆみに耐えかねて患部を掻きむしってしまうと、症状が悪化したり、痕が残る可能性があります。もし水ぶくれができた場合は、二次感染を防ぐためにも早急に適切な治療を受けることが重要です。

症状⑨:やけど虫

やけど虫、正式には「アオバアリガタハネカクシ」と呼ばれる昆虫で、有毒物質「ペデリン」を含んだ体液を持っていることが特徴です。この体液に触れると、まるでやけどをしたかのような強烈な痛みと発疹が出現します。

やけど虫による刺激は、ハチが刺すような形ではなく、虫を触ったり払いのけたりした際に皮膚に付着することで発生します。接触後、数時間から半日で赤く線状の皮膚炎が現れ、痛みやヒリヒリ感が強まります。数日が経過すると、患部には水ぶくれやかさぶたが形成され、完治までには1カ月程度かかることも珍しくありません。治った後には色素沈着が残ることがあるため、やけど虫に接触した際にはすぐに医療機関への受診をオススメします。

虫刺されに有効な施術・治療方法

虫刺されの治療法

刺された際、最初に行うべきは患部を冷水で洗い、冷やすこと。これにより、症状の悪化を防げます。蚊の刺し傷など軽いものは、かゆみ止めの外用薬で対処可能です。しかし、かゆみや赤みが強い場合は、ステロイド外用剤の使用を検討しましょう。赤みや腫れが顕著な時には、この塗り薬が炎症を抑えます。

症状がひどくなる前に、適切な対処をすることが重要です。市販薬で改善しない場合は、皮膚科専門医の診察を受けることをオススメします。

また、刺された虫によっては対処法が異なるため、可能ならば虫の写真を撮っておくとともに、原因となる虫の駆除も重要です。

虫刺されのよくあるご質問

Q虫刺されと診断するために行われる検査はありますか?

A
虫刺されの多くは特別な検査を必要としません。刺された部位を見せ、いつ刺されたかを医師に伝えることから始まります。特に、ハチに刺された際は、アナフィラキシーという重篤な反応が稀に起こるため、刺されてから30分以内に症状が現れた場合は、直ちに受診しましょう。一方で、1時間が経過しても大きな問題がなければ、アナフィラキシーの可能性は低くなります。

また、虫刺されが原因で感染症が疑われる場合、医師は採血を行うことがあります。

Q虫に刺されやすい人の特徴を教えてください。

A
以下は、虫に刺されやすい人の特徴です。

・体温が高い
・肥満傾向:体温や吐く息の二酸化炭素濃度が高いため
・汗っかき:汗に反応して寄ってくる。特に、ジンワリ汗をかく人が刺されやすい
・黒い服を着ている:色の識別能力が低いため、黒などの濃い色に向かってくる可能性が高い
・お酒を飲んでいる:アルコールが体内で分解されて吐く息の炭酸ガス濃度が高くなるため
・血液型がO型:赤血球の表面にあるO型の糖物質が花の蜜に似ているため
・赤ちゃんや子ども:体温が高く汗っかきであるため
・妊娠中:妊娠中は基礎代謝が上がり体温が高くなるため

Q虫刺されの予防法はありますか?

A
・肌の露出を減らす:長袖や長ズボンを着用し、肌をできるだけ覆う
・虫の接近を防ぐ:虫除けスプレーやシートを活用する。ただし、年齢や部位の制限に注意が必要。また、室内では蚊やノミの駆除に燻煙殺虫剤が役立つ
・専門の駆除業者に依頼:トコジラミやイエダニのように特定の場所に潜む害虫に有効
・野外では忌避剤の使用:ディートやイカリジンを含むものが効果的

これらの方法を活用しながら虫刺されの予防をしましょう。
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