胃炎の原因①:薬剤
胃炎の主要な原因の一つは、薬剤による副作用です。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期間の服用は胃炎を引き起こすリスクを高めます。NSAIDsは、アスピリン、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシンなど多岐にわたり、その作用によってプロスタグランジンの産生が抑制されます。プロスタグランジンは胃粘膜を保護する役割を持ち、その産生が抑制されることで胃酸の分泌が増加します。その結果、胃粘膜のバリア機能が弱まり、胃炎の発症とつながるわけです。このため、NSAIDsを長期間服用する場合は、胃炎をはじめとする胃の問題に注意し、必要に応じて医師と相談することが重要です。
胃炎の原因②:ストレス
胃炎は、過度なストレスや過労が引き金となって起こることがあります。ストレスが自律神経の働きに影響を及ぼし、自律神経のバランスの崩れが胃の機能に悪影響を与えます。具体的には、過剰な胃酸が分泌されることで胃粘膜がダメージを受け、また胃の粘液の分泌が抑制されることにより、本来のバリア機能が低下します。この結果、気分の落ち込み、喉の違和感、胸やけ、胃痛などの症状が現れることがあります。ストレスを適切に管理することは、神経性胃炎を含む多くの健康問題を予防するためにも重要です。
胃炎の原因③:ピロリ菌感染
慢性胃炎の約80%がピロリ菌感染によるものとされています。このタイプの胃炎は、特に萎縮性胃炎と呼ばれます。ピロリ菌は、胃酸の強い酸性環境下でも生存することができる非常に順応性の高い菌です。この菌はウレアーゼという酵素を排出し、周囲にアルカリ性のアンモニアを生成することで、胃酸を中和しながら生息します。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、炎症を引き起こし、その結果、胃炎が発生します。
顕微鏡で観察すると、ピロリ菌に感染した胃では「発赤」や「ヒダの肥厚」といった症状が見られます。これらの症状は、胃粘膜に炎症が生じていることを示しています。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症している患者にもピロリ菌の感染がしばしば見られるため、これらの疾患と胃炎の関連性にも注意が必要です。
胃炎の原因④:暴飲暴食
暴飲暴食、アルコールの過剰摂取、不規則な食事時間、喫煙、睡眠不足などは、胃の粘膜に負担をかけ、胃炎を誘発する可能性が高まります。脂っこい食べ物や刺激的な香辛料、カフェインや炭酸飲料の多用は、胃酸の過剰分泌を促し、胃の粘膜を刺激して炎症を引き起こす原因になりえます。
睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、それが胃酸の過剰分泌につながることがあります。また、喫煙は胃粘膜内の血流を悪化させ、酸欠状態に陥りやすくすることで、胃粘膜の抵抗力を低下させることが知られています。これらの生活習慣は、長期的に見て胃潰瘍や胃がんへのリスクを高めることも指摘されています。そのため、健康的な生活習慣を心がけることが、胃炎の予防には非常に重要です。