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カンジダ皮膚炎

カンジダ皮膚炎の治療

カンジダ皮膚炎とは

カンジダ皮膚炎は、カンジダ菌という真菌の一種による皮膚の感染症です。この症状は主に湿った部分や皮膚が擦れやすい場所に発生します。

通常、人体に存在する常在菌ですが、高温多湿の環境や免疫機能の低下により過剰に増殖し、問題を引き起こすことがあります。特に乳児は、おむつをあてる部分にカンジダ性おむつ皮膚炎が発生することもあるため、注意が必要です。

カンジダ皮膚炎

カンジダ皮膚炎の4つの原因

原因①:免疫力の低下

免疫力の低下により、カンジダ皮膚炎が発症することがあります。免疫力が低下すると、常在菌であるカンジダ菌による日和見感染(自己感染)が起こるからです。免疫力が低下する原因として、以下のことが挙げられます。

・不規則な生活:生活リズムの崩れや十分な睡眠時間が確保できないと自律神経が乱れたり、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が促されたりして、免疫力の低下につながる
・基礎疾患:糖尿病やHIV(後天性免疫不全症候群)など免疫力が低下する疾患が持病の場合
・使用中の薬剤の影響:ステロイド療法や抗がん剤など、薬剤の副作用により免疫力が低下することもある
・妊娠中:妊娠により栄養素を胎児に使うため、母体の免疫力が低下することがある

これらの状況により免疫力が低下すると、カンジダ皮膚炎を発症するリスクが高まるのです。

原因②:高温多湿な環境

高温多湿の環境下では、カンジダ菌の増殖が促進されます。特に、皮膚の重なる部分や下着のこすれる部位など、湿気がこもりやすい場所で問題が生じやすくなります。

具体的には、乳児であればおむつかぶれなどが挙げられます。成人であれば、通気性の悪い下着の着用や、ナプキン・おりものシートの長時間使用が原因となります。また、汗をかきやすい夏場や運動後など、皮膚が蒸れやすい状況も危険因子となりうるでしょう。

これらの条件下では皮膚の自然な防御機能が低下し、カンジダ菌が過剰に増殖しやすくなります。そのため、通気性の良い衣類の選択や、こまめな着替え、皮膚の清潔保持が予防に重要です。

原因③:不適切なスキンケア

過度の洗浄や保湿不足が挙げられます。これらは皮膚のバリア機能を低下させ、カンジダ菌の増殖を促進します。

刺激の強い石鹸の使用や頻繁な入浴が皮膚の自然な油分を奪い、乾燥を引き起こします。これにより皮膚本来のバリア機能が損なわれ、カンジダ菌が繁殖しやすい環境を作ってしまう可能性があります。また、保湿ケアの不足は皮膚の乾燥を悪化させ、微小な亀裂を生じさせるリスクもあるため、注意しましょう。

さらに、寝たきりの状態や肥満による皮膚の重なりも、適切なケアが行われないと問題となります。これらの状況では皮膚が蒸れやすく、カンジダ菌の繁殖に適した環境が作られますが、清潔保持を怠り、そのままの状態で放置するとカンジダ菌に感染します。

原因④:抗生物質の使用

抗生物質は細菌感染症の治療に効果がありますが、同時に体内の善玉菌も減少させてしまいます。これにより、腸内細菌叢のバランスが崩れ、免疫システムに悪影響を及ぼします。

抗生物質の使用により、カンジダ菌の増殖を抑制する乳酸菌などの善玉菌が減少します。その結果、カンジダ菌が過剰に増殖しやすい環境が作られます。

また、抗生物質の長期使用は、腸管粘膜のバリア機能を低下させ、全身の免疫力にも影響を与えます。これにより、皮膚の防御機能も弱まり、カンジダ皮膚炎のリスクが高まります。

カンジダ皮膚炎の症状

症状①:湿った紅斑(赤いただれ)

湿った紅斑は、カンジダ皮膚炎の代表的な症状です。境界があまりはっきりしない赤いただれとして現れ、ジュクジュクとした湿った状態になります。また、時には小さな水ぶくれとなり、かゆみを伴うこともあります。

好発部位は、脇下や股間、陰部、おむつ部、乳房の下などの蒸れたり擦れたりしやすい部分です。この症状は高温多湿の環境で悪化しやすく、衣類や皮膚の接触面が蒸れやすい状況で発症しやすいです。

症状②:点々とした発疹

点々とした発疹は、カンジダ皮膚炎の特徴的な症状の一つです。主に紅斑の中や周囲に、小さな水(赤色)ぶくれや膿疱(黄色)として現れます。

好発部位は湿った紅斑と同様で、脇下や股間、陰部、おむつ部、乳房の下などです。

患者はこの症状に対して軽いかゆみを感じることが多く、時にはヒリヒリする痛みを伴うこともあります。点々とした発疹は、カンジダ菌の増殖が活発な部位に集中して現れる傾向があります。

症状③:皮膚の落屑(白い皮膚が剥がれること)

皮膚の落屑は、カンジダ皮膚炎の進行した段階でよく見られる症状です。感染部位の皮膚が白くなり、薄片状にはがれ落ちる現象を指します。特に肛門周囲のカンジダ症で顕著に現れることがあります。

好発部位は特に乾燥しやすい部位や摩擦の多い部位で起こりやすいです。患者は皮膚がむけることで不快感を感じ、かゆみを伴うことも多いです。落屑した皮膚の下には新しい赤い皮膚が現れ、これが繰り返されることがあります。

症状④:患部の強いかゆみ

カンジダ皮膚炎に伴うかゆみは、軽度から強度まで様々ですが、強いかゆみを伴うこともあります。かゆみは主に感染部位に集中し、湿った紅斑や点々とした発疹の周囲で特に強く感じられます。

好発部位として、特に皮膚の重なる部分や衣類との摩擦が多い部位で強くなる傾向があります。

患者は強いかゆみにより掻破行動(掻きむしること)を起こしやすく、これが症状を悪化させます。また、かゆみにヒリヒリする痛みが伴うこともあり、患者のQOLを著しく低下させる可能性があります。

カンジダ皮膚炎の検査と診断

カンジダ皮膚炎の検査と診断は、症状の確認と顕微鏡検査を通じて行われます。まずは、以下のカンジダ皮膚炎の特徴的な症状の有無を確認します。

・湿った紅斑(赤いただれ)
・点々とした発疹
・皮膚の落屑(白い皮膚が剥がれること)
・患部の強いかゆみなど

これらの症状が見られる場合、カンジダ皮膚炎が疑われます。

次に、確定診断のためには、患部から皮膚の一部を採取し、顕微鏡でカンジダ菌の存在を確認します。この方法により、カンジダ菌の過剰増殖が確認されれば、カンジダ皮膚炎と診断されます。

カンジダ皮膚炎に有効な施術・治療方法

治療法①:抗真菌薬の外用

カンジダ皮膚炎の治療には、抗真菌薬の外用薬が非常に効果的です。この外用薬は、カンジダ菌の増殖を抑え、症状を改善する働きがあります。

代表的な外用薬として、イミダゾール系のクリームが適しており、ビホナゾール、ケトコナゾール、ネチコナゾール塩酸塩、ラノコナゾール、ルリコナゾールなどがあります。これらの薬剤を患部に直接塗布することで、カンジダ菌を効果的に除去できます。

外用薬の種類には、クリームや軟膏、ローションなどがあり、症状や部位に応じて選択されます。例えば、ジュクジュクした湿疹や赤みがある場合には、クリームや軟膏が適しています。治療期間は通常1〜2週間程度で、症状が改善するまで続けることが重要です。

治療法②:抗真菌薬の内服

カンジダ皮膚炎の治療には、内服薬が効果的な選択肢となります。代表的な内服薬としては、フルコナゾールやテルビナフィンなどの抗真菌薬があります。

これらの薬はカンジダ菌の増殖を抑え、症状の改善を促します。特にフルコナゾールはカンジダ属に対して効果が高いとされています。一方、テルビナフィンはアリルアミン(非アゾール)系の抗真菌薬であり、皮膚糸状菌やカンジダ属に対して幅広い効果を発揮します。

内服薬の使用は、症状が広範囲にわたる場合や、外用薬だけでは改善が見られない場合に検討されます。しかし、内服薬の使用には必ず医師の診断と処方が必要です。内服薬と併せて外用薬を使用することで、より効果的な治療が期待できます。なお、テルビナフィンは内服薬だけでなく、外用薬としても利用されます。

治療法③:環境の改善

カンジダ菌は高温多湿な環境で増殖しやすいため、環境改善の主な目的は湿度の管理と清潔の維持です。具体的な改善方法は、以下の通りです。

・清潔にする:入浴後は患部をよく乾かし、必要に応じて清潔なタオルで水分を拭き取る
・通気性のある衣類を選ぶ:通気性の良い素材の衣類を選び、タイトな衣類は避ける。特に下着は綿素材のものが適している
・おむつ管理を徹底する:乳児のカンジダ性おむつ皮膚炎の場合、おむつ交換の頻度を増やし、おむつ内の湿度を下げることが重要

これらの環境改善は、カンジダ皮膚炎の治療効果を高め、再発を防ぐ上で重要です。ただし、症状が改善しても、その後数日間は抗真菌薬の塗布を続けることが推奨されます。環境改善と適切な薬物療法を組み合わせることで、効果的な治療が期待できます。

治療法④:免疫力の向上

免疫力の向上は、カンジダ菌の過剰増殖を防ぎ、症状の改善と再発予防に効果があります。具体的な方法は、以下の通りです。

・適切な栄養摂取:バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンCやビタミンD、亜鉛などの免疫機能を支える栄養素を積極的に摂取できる
・十分な睡眠と休養:質の良い睡眠は自律神経を整え、免疫システムの回復を促す
・ストレス管理:慢性的なストレスは、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促して、免疫機能を低下させる原因になるため、適度なストレス発散を行う
・適度な運動:定期的な運動はセロトニン(ストレス解消ホルモン)の分泌によりストレスを軽減するとともに、免疫機能を活性化させる。ウォーキングなどの軽い運動などを生活習慣として取り入れてみる方法もある

これらの方法を日常生活に取り入れることで、カンジダ皮膚炎の治療効果を高め、再発リスクを低減できる可能性があります。ただし、基礎疾患がある場合は、必ず医師の指導のもとで免疫力向上に取り組むことが重要です。

カンジダ皮膚炎のよくあるご質問

Qカンジダ皮膚炎は自然に治りますか?

A
カンジダ皮膚炎は、適切な治療を行わない場合、自然に治ることは稀です。

カンジダ菌は常在菌ですが、何らかの要因で過剰に増殖し、皮膚炎を引き起こします。自然治癒を期待するよりも、早期に適切な治療を受けることが重要です。

治療の基本は、抗真菌薬(外用薬)です。同じカビの病気である水虫に比べると治りやすい傾向にありますが、広範囲に及ぶ場合や治りにくい場合は、内服薬を併用することもあります。

また、カンジダ皮膚炎の原因を特定し、改善することが再発防止につながります。したがって、症状が現れたら自然治癒を期待せず、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが推奨されます。

Qカンジダ皮膚炎の場合、どの科を受診すべきですか?

A
カンジダ皮膚炎の診断と治療には、皮膚科を受診しましょう。皮膚科医は皮膚疾患の専門家であり、カンジダ皮膚炎の症状を正確に診断し、適切な治療を提供することができるからです。

ただし、外陰部や膣のカンジダ症が疑われる場合は、女性なら婦人科、男性なら泌尿器科、乳児のおむつかぶれによるカンジダ皮膚炎なら小児科などでも診察してもらえるため、発症部位によって診療科の幅が広がる可能性もあります。
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