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膠原病

膠原病の治療について

膠原病とは

膠原病は、自己免疫疾患の一種です。自己免疫疾患とは、体の免疫システムが誤って自身の組織を攻撃してしまう病気のことを指します。膠原病の特徴は、全身の血管、皮膚、筋肉、関節などに炎症を引き起こすことにあります。

発症すると、発熱、湿疹(かゆみを伴う発疹)、関節の痛みなどの症状が現れます。代表的な膠原病には、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデスなどがあげられます。

膠原病は女性に多く見られる傾向があり、特に30代から40代の女性に発症することが多いとされています。原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に関係していると考えられています。

膠原病

膠原病の原因

膠原病の原因は、免疫システムの異常により本来体を守るべき抗体が体内の組織を攻撃してしまうことにあります。

具体的な要因には遺伝的な素因と環境因子が関与していると考えられています。遺伝的には、HLAと呼ばれる遺伝子の型が影響を与えることがわかっています。一方、環境因子としてはウイルス感染や紫外線の影響などが挙げられます。

これらの遺伝的素因と環境因子が複合的に作用し、免疫システムが誤って自身の組織を攻撃する自己抗体を産生してしまいます。その結果、組織の障害や炎症が引き起こされるのです。

膠原病の症状

膠原病の代表的な症状は、以下の通りです。

・発熱
・全身倦怠感
・関節や筋肉の痛み
・皮膚の症状など

その他にも、膠原病の初期症状には食欲不振や湿疹、リンパ節の腫れなどがあります。これらは、膠原病が進行する前のサインとされています。

さらに、レイノー症状や目の渇き、脱毛など、膠原病固有の特徴的な症状も存在します。これらの症状は、膠原病の中でも様々なタイプがあり、それぞれに特有の症状があるためです。

膠原病の8つの種類

種類①:関節リウマチ

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis)は自己免疫疾患の一種で、膠原病の中でも特に多く見られる病気です。全国で患者数は70万〜80万人と推定されており、特に30〜50歳代の女性に多く見られますが、高齢化に伴い60歳代以降の発症も増加しています。

関節リウマチは、免疫システムが誤って自分の関節を攻撃することにより発症します。具体的には、関節の滑膜という組織が攻撃され、炎症が引き起こされます。これにより、関節に痛みや腫れ、こわばりが生じます。特に手や足の小さな関節で始まり、左右対称に症状が現れることが多いです。

症状は慢性的で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。朝のこわばりや全身の倦怠感、易疲労感も特徴的な症状の一つです。

種類②:シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは、全身のさまざまな臓器に炎症が起こる病気で、特に40〜60歳の女性に多く発症します。患者の約90%が女性で、主な症状は目や口の乾燥、関節の痛みです。目が乾く「ドライアイ」や口が渇く「ドライマウス」、指先が青白くなる「レイノー現象」などが見られます。また、唾液腺の炎症によって腫れることもあります。

他の膠原病と合併することが多く、特に関節リウマチや全身性エリテマトーデスとの合併が見られます。

種類③:全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫性疾患であり、特に20〜40代に多く、患者の約9割が女性です。日本では約6万人の人が全身性エリテマトーデスで悩まされており、体の免疫システムが自分自身の組織を攻撃してしまうことで発症します。

主な原因としては、遺伝的な体質に加え、日光(紫外線)やウイルス感染、妊娠・出産などの環境要因が関与していると考えられています。特に紫外線は病状を悪化させるため、日常生活での対策が重要です。

具体的な症状としては、関節炎や発熱、蝶形紅斑(鼻から両頬にかけて赤い蝶のような形の斑点)、レイノー現象(寒さや冷たい水で指先が青白くなる)などがあります。

種類④:多発性筋炎・皮膚筋炎

多発性筋炎・皮膚筋炎とは筋肉に炎症が生じる病気で、多発性筋炎は筋肉の炎症のみ、皮膚筋炎はそれに加えて特徴的な皮膚症状が見られるのが特徴です。

多発性筋炎は、筋肉の炎症により力が入りにくくなり、和式トイレの使用や階段の昇降が困難になることがあります。また、激しい筋肉痛を伴うこともあります。皮膚筋炎では、顔や手指の関節背側、肘関節などに特徴的な湿疹や紅斑が現れます。

種類⑤:全身性強皮症

全身性強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる病気であり、特に30〜50歳の女性に多く見られます。

全身性強皮症の症状としては、まず手指や足趾の皮膚が硬くなり始めます。初期段階では手の指がむくむ感じがし、その後、手指全体が硬くなります。進行すると、腕や顔、首なども硬くなり、口が開けにくくなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりすることもあります。また、寒さや緊張によって手足の指先が白くなり、しびれを感じるレイノー現象もよく見られます。

この病気の原因はまだ明らかになっていませんが、線維化と血管内皮障害が関係しています。

種類⑥:結節性多発動脈炎

結節性多発動脈炎は、中型の血管に炎症が起こる膠原病の一種です。40〜60歳の男性に多く見られるこの病気は、血管が破壊されることでさまざまな臓器に影響を及ぼします。

炎症により血管壁が肥厚し、血流が悪くなると、腎臓や腸、脳などの臓器に虚血や梗塞が生じることがあります。また、皮膚には網状の暗赤色の皮疹が現れたり、消化管が炎症を起こして食後の腹痛が起こったりすることも。重大な症状としては、心筋梗塞や腸管穿孔が挙げられます。

この病気は、男女比が3:1で男性に多く見られ、指定難病に指定されているため、重症度に応じて医療費助成の対象となります。

種類⑦:混合性結合組織病

混合性結合組織病は、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、多発性筋炎の症状が混在しているため、膠原病の重複症候群の1つとされています。

この病気は30〜40歳代の女性に多く見られ、発熱や顔面紅斑、手指の皮膚硬化、間質性肺炎など多様な症状が現れます。このため、症状がSLEや強皮症に似ていることが多いことが特徴であり、手の指がソーセージのように腫れるレイノー現象がほぼ100%認められます。

種類⑧:ベーチェット病

ベーチェット病は、遺伝的な要素(HLA-B51)が強いとされており、膠原病の中でも男性に多く見られる特徴があります。男女比はほぼ1:1です。この病気の主な症状として、以下の4つが挙げられます。

・口腔内に痛みを伴う潰瘍(アフタ性潰瘍)
・手足を中心とした皮膚として、結節性紅斑や毛膿炎(にきび様の皮疹)
・男性では陰茎から陰嚢、女性では外陰部から膣内にかけての潰瘍
・眼症状として、ぶどう膜炎と呼ばれる炎症

これらの症状に加え、神経や血管、腸にも合併症が見られることがあり、その際には副腎皮質ステロイドホルモンによる治療が行われます。

膠原病の検査と診断

膠原病の診断に用いられる検査は、以下の通りです。

・症状の詳細な確認:患者の症状や病歴を詳しく聞き取ります。膠原病は全身に影響を与えるため、さまざまな症状が現れる可能性があります。
・血液検査:炎症の指標となるCRP(C反応性蛋白)など一般的な検査項目に加えて、リウマチ因子や抗CCP抗体など特定の自己抗体の有無も調べます。
・尿検査:自己免疫疾患による臓器(特に腎臓)への影響を把握するため、尿検査にて蛋白尿・血尿を探ります。
・画像診断: X線、MRI、CTスキャンなどの画像診断技術を用いて、関節や内臓の損傷の有無を確認します。

この他にも、受診時の症状や基礎疾患などの有無により必要な精査を行い、検査データを元に診断を行います。

膠原病に有効な施術・治療方法

治療法①:薬物療法

薬物療法の目的は、症状の改善や進行を予防することです。薬物療法で用いられる代表的な薬剤は、以下の通りです。

・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 炎症を抑え、痛みを軽減します。
・ステロイド薬:強力な抗炎症効果があり、急性の症状抑制に用いられます。
・免疫抑制剤:自己免疫反応を抑え、病気の進行を遅らせます。
・生物学的製剤(バイオロジクス):特定の免疫反応を標的とし、効果的に症状を抑制します。

薬物療法は、症状や病態に応じて選択され、膠原病の管理において中核をなします。

治療法②:血漿交換療法

血漿交換療法は、体外に取り出した血液を血球成分と血漿成分に分け、病因関連物質を含む血漿を廃棄し、新しい血漿と交換する方法です。この治療によって、病気の原因となる自己抗体や免疫複合体を取り除きます。

自己免疫疾患では体が誤って自己抗体を産生し、これが病態を悪化させます。一方の血漿交換療法は、有害な自己抗体や免疫複合体を除去でき、症状の改善ができます。また、健常な方の血漿(新鮮凍結血漿、FFP)を補充することで、凝固因子などの不足している成分を補うことが可能です。

治療法③:リハビリテーション

膠原病治療で行われるリハビリテーションは、以下の通り

・物理療法:痛みの軽減や関節機能の改善を目指します。
・運動療法:筋力の維持・向上、関節の可動域を保つことが目的です。
・作業療法:日常生活動作(ADL)の改善をサポートします。

リハビリテーションは、身体機能の維持・改善を図り、患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献する

治療法④:日常生活の管理

日常生活の管理も膠原病の治療や症状をコントロールしていく上で重要です。特に以下の要素は再発や症状の悪化を招く危険性があるため、注意しておきたい内容となっています。

・日光対策:日焼けを避けるための対策が重要です。
・禁煙:喫煙は症状を悪化させる可能性があります。
・バランスの取れた食事:栄養バランスを考えた食事が推奨されます。
・ストレス管理:ストレスは症状を悪化させるため、適切な管理が必要です。

日常生活の管理は、膠原病の治療においても大きな役割を果たし、病気のコントロールに寄与します。

膠原病のよくあるご質問

Q膠原病は完治しますか?

A
現在のところ、多くの膠原病を「完治」させることは難しいとされています。しかし、適切な治療により、症状を大きく改善させたり、病気の活動性を抑えることが可能です。

Q膠原病の治療費負担をサポートする制度はありますか?

A
膠原病の種類にもよりますが、多くは医療が公費負担である「特定疾患」として認定されています。難病医療費助成制度などを活用して、治療継続に必要な経済的負担の軽減をすることもできます。

Q膠原病の人は出産ができませんか?

A
膠原病を抱える女性でも、出産は可能です。

重要なのは、主治医と密接に相談しながら妊娠・出産に向けた計画を立てることにあります。病状が安定していないと、妊娠が難しくなったり、早産や低出生体重児のリスクが高まることが知られています。そのため、妊娠を希望する場合は、病気の状態を安定させることが先決です。
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