内科・皮膚科・美容皮膚科なら青山Fusionクリニック|かぜ・皮膚炎・アレルギー・各種ワクチンのご相談から、たるみ・しわ等美容のお悩みまで|東京 青山・外苑前

予約・メール
電話予約
友だち追加
インスタ
アクセス

下痢症

下痢症の治療について

下痢症とは?

下痢症は、1日に3回以上、軟便または水様便を排泄する状態です。お腹が締め付けられるような痛みが伴い、長引くと日常生活に支障をきたす恐れもあります。腸の水分は、飲食によって摂取された水分と消化液を合わせて1日あたり約10リットルと言われています。そのほとんどは小腸で吸収され、最終的には100〜200ミリリットルが便として排泄されます。下痢症になると、腸の水分吸収が不十分になったり、腸からの分泌物が増加したりして、便の水分率が上がり、下痢になります。具体的には、バナナ状の便が理想的で、水分量が80%〜90%を超えると「軟便」、90%以上になると「水様便」となります。

下痢症

発症機序から見る5つの下痢症

分泌性下痢

分泌性下痢は、腸管内での水分と塩類の分泌が異常に活発になり、便の水分量が通常より極端に増える状態、つまり水様便を呈する病態です。
主な原因は、細菌やウイルスなどの病原体による感染、具体的には感染性腸炎や食中毒などです。これらの微生物が腸内に侵入し、毒素やホルモンを産生することで、腸管内の水分分泌が過剰になり亢進し、下痢が引き起こされるのです。
また、食物アレルギーや解熱鎮痛薬などの特定の薬物の服用も、分泌性下痢の原因となります。過敏反応が腸管粘膜を刺激し、分泌液を増やすためです。非吸収性脂肪の過剰摂取も同様に、腸管内での脂肪の吸収不良を招き、水分排出が増えて下痢になります。

浸透圧性下痢

浸透圧性下痢とは、腸管内に高浸透圧性の物質が増えることで発症する下痢のことです。
具体的な原因としては、一部の下剤やアルコール、特定のサプリメントや食品添加物(ソルビトールやキシリトールなど)が挙げられます。また、乳糖不耐症の人が牛乳を飲むと、腸内の乳糖が分解され、高浸透圧の物質が増えます。
腸管内に高浸透圧性物質が増加すると、周囲の水分がその方向に移動しようとするため、腸管内への水分の吸収が妨げられます。その結果、腸管内に多くの水分が留まり、便が通常より軟らかくなるのです。

滲出(しんしゅつ)性下痢

滲出性下痢は、腸に炎症が起きているために血液成分や細胞内の液体が腸粘膜から漏れ出し、便の水分量が増える状態です。
腸管の粘膜が傷つくと水分の吸収能力が低下し、炎症が起こります。その結果、粘液の産生が増えたり、腸管内の滲出液が増加して下痢になるのです。
代表的な原因としては、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患が挙げられます。その他にも放射線性腸炎や腸結核、ウイルス性腸炎なども滲出性下痢の原因となり得ます。
つまり、何らかの理由で腸管に炎症が生じると、体液が腸管内に流れ出し、下痢を引き起こすというわけです。

運動亢進・低下性下痢

腸の運動が亢進(過剰になること)または低下することでも下痢が起こり得ます。
腸の運動亢進による下痢の原因としては、過敏性腸症候群(IBS)や甲状腺機能亢進症などがあげられます。腸の蠕動運動が過剰になり、腸管で水分が十分吸収される前に肛門まで運ばれてしまうのです。
一方、腸の運動低下が原因の下痢としては、糖尿病性神経障害・アミロイドーシス・消化管平滑筋障害などがあります。これらの症状のため腸の動きが悪くなると、腸内細菌が異常増殖したり、腸での脂肪や水分の吸収障害が起きたりします。
結果として、腸の運動亢進・低下いずれの場合も、通常より多くの水分を含んだ便が排泄されることになり、下痢となるわけです。

慢性的な下痢

慢性的な下痢が続く場合、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。一般的に、4週間以内の一過性の下痢を「急性下痢」、4週間以上続く下痢を「慢性下痢」と呼びます。
慢性下痢の原因となる代表的な病気としては、過敏性腸症候群(IBS)や大腸ポリープなどがあげられます。過敏性腸症候群とは、ストレスなどの精神的負担により、3ヶ月以上にわたり月に3日以上の腹部症状(腹痛や違和感など)が起こり、便の状態が変化する病態です。
一方、大腸ポリープは腸管にイボ状の腫瘍ができる状態で、下痢や血便などの症状を引き起こします。場合によっては大腸がんに進行する可能性もあり、早期発見と治療が重要になります。

【危険】早急な受診が必要な下痢症の症状

下痢症において以下の症状がある方は、早急な受診が必要です。

・何日経っても治らない、下痢が改善しない
・これまでに経験したことのない腹痛を伴う下痢
・高熱を伴う下痢
・吐き気や嘔吐などの症状を伴う下痢
・多量の汗や尿量が減るなどの脱水症状の兆候がある
・排泄直後に急激な腹痛に襲われる
・便に血や粘液が混じる
・毎回ある特定の食材を食べるとお腹を下す
これらの症状を伴う下痢をしている場合、命に関わる危険性もあるため、一度消化器内科のある病院を受診しておく方が良いでしょう。また、早期の適切な治療は合併症を防ぐ上で重要です。

注意すべき下痢症の合併症

脱水症状

脱水症状は、下痢によって体内から水分や電解質が失われることで起こります。下痢が続くと、水分や電解質が体外に排出され、体内の水分バランスが乱れます。脱水症状が進行すると、身体の正常な機能が妨げられ、重篤な状態に至ります。
また、重度の場合にはめまいや立ちくらみ、倦怠感、意識障害などが現れることもあります。特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人、慢性疾患を持つ人にとっては脱水症状は重篤なリスクとなります。そのため、下痢が続く場合や脱水症状の兆候が見られる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療や水分補給を行うことが重要です。予防としては、下痢が起きた際には十分な水分補給を心掛けることや、適切な食事療法を行うことが挙げられます。

下痢症の4つの検査

血液・便検査

下痢の原因となる病気を見つけるために、血液検査と便検査が行われます。
血液検査では、炎症の有無や腫瘍マーカー(腫瘍の存在を示す検査値)、電解質バランスや脱水症状などを観察します。
一方の便検査では、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症を特定するための便培養が実施されます。便中の血液や炎症マーカー、寄生虫の卵や嚢胞(のうほう)の有無も調べられます。
特に肉眼でも便に鮮血が混じっている場合、出血が続いている可能性があります。このままにしておくと貧血や脱水などの合併症を招き、重症化する恐れがあるため、速やかな治療が必要不可欠です。

肛門指診・肛門鏡検査・大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)

下痢の原因を調べる検査として、肛門から直接指や機器を挿入して観察する検査方法があります。
肛門指診とは、医師が指を肛門に挿入し、直腸の状態を確認する検査です。直腸の壁や周囲組織の異常や腫瘍の有無が分かります。
また、肛門鏡検査や大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)では、柔軟な管状の器具を肛門から挿入し、直腸と肛門周囲の組織を観察することができます。直腸や肛門周りの組織の状態、炎症の有無、ポリープや腫瘍、管腔の狭窄などが確認できるのです。
さらに大腸カメラ検査であれば、生検(組織を採取してがんの有無を特定する)やポリープ切除も可能です。

腹部超音波検査(エコー検査)

腹部超音波検査は、音波を使用して内部の構造を観察する検査のことです。患者の腹部にゼリーを塗り、その上から超音波プローブを移動させることで、内臓器官の形状や位置、血流などをリアルタイムで観察できます。
腹部超音波検査により以下の内容がわかります。
・内臓器官の状態
・消化管の状態
・血管の状態
・腹水の有無
内臓器官の形状や大きさ、その他異常から腫瘍や結石、胆嚢の炎症などを探ります。また、胃や腸の壁の厚さや異常、液体の蓄積などを観察することで、炎症や潰瘍、腫瘍、ポリープなどの可能性も探れます。この他にも腹部の大動脈や静脈、肝臓内の血管などの血流状態、腹膜炎による腹水の貯留などを観察して、下痢症の原因となる病気の特定も可能です。

腹部CT検査

腹部CT検査とは、X線を使用して腹部内部の構造を詳細に観察する検査方法です。単純CTと造影CTの2種類があります。
単純CTは何も処置をせずに撮影するものですが、造影CTでは造影剤を使うことで、より詳細な観察が可能となります。腹部CTでは、肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓(ひぞう)などの臓器の腫瘍性病変や結石、脂肪肝などを特定することができます。
腹部超音波検査(エコー検査)とは異なり、腹部CTは腹腔内のガスや脂肪の影響を受けにくいため、より正確な病変の有無や診断が可能です。ただし、放射線被ばくがあるため、妊婦や放射線リスクを控えたい患者への検査には注意が必要です。

下痢症に有効な施術・治療方法

薬物治療・水分補給

急性下痢症の治療の基本は、薬物療法と水分補給です。一方で症状が軽かったり、落ち着いたりしている慢性下痢は水分摂取が基本であり、必要に応じて薬物治療が行われます。
薬物療法で用いられる代表的な薬剤は、以下の通りです。
・抗生物質
・止痢薬(抗下痢薬)
細菌によって腸管が炎症を起こしているなら抗生物質により原因菌を死滅させます。また、腸の動きが亢進しているなら止痢薬(抗下痢薬)にて腸粘膜の刺激緩和、腸運動を抑制して下痢症状を改善します。
薬物治療とともに水分補給も下痢症の治療で重要です。下痢症になると通常よりも体内の水分が奪われた状態になります。特に高熱や嘔吐などを伴う下痢症は、口から物を食べられなかったり、発汗したりするため、脱水症状になるリスクが高まるでしょう。そのため、経口補水液の飲用や補液治療(経口摂取が難しい場合)が行われます。

原因疾患の治療

血液や便の検査、腹部CTなどの精密検査により、下痢症の原因疾患(基礎疾患)が特定されると、その原因疾患の治療も同時に行われます。
例えば、潰瘍性大腸炎が下痢の原因だった場合、ステロイドや食事療法によって症状を和らげ、寛解(症状や検査異常が消失した状態)を目指します。原因疾患が治まれば、下痢症の根本的な原因も取り除かれるため、症状の改善が期待されます。また、大腸ポリープの場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行い、ポリープ切除術を行うことで根治的な治療が可能です。

食生活の改善

食事習慣が原因で下痢症になっているなら、食生活を改善することで症状を落ち着けられます。
例えば、以下の食材は下痢症の際は控えましょう。
・食物繊維の多いもの
・刺激の強いもの
・ガスを発生するもの
・冷たいもの
下痢症の時は腸管の働きが弱っており、休ませることを優先します。そのため、消化が悪くなり腸に負担となる、食物繊維や、刺激となる辛い・冷たい食べ物・飲み物は避けましょう。また、芋類などガスが発生しやすく腸を内側から圧迫する食べ物の過剰摂取にも注意です。

下痢症のよくあるご質問

Q下痢になった際に摂取すべきものはありますか?

A
水分の他にも、全身の調子を整える電解質(ナトリウム、塩化物、カリウム、重炭酸塩など)が失われ、脱水症状の原因となります。特に電解質が急激に失われると手足のつりや脱力や昏睡状態、けいれんなど重篤な状態になるリスクもあるため、注意が必要です。

Q下痢以外に症状がなく、日常生活を送れていても受診した方が良いでしょうか?

A
1週間以上症状が続くならば、たとえ元気であったとしても消化器内科を受診し、原因を特定してもらった方が良いでしょう。場合によっては、潰瘍性大腸炎などの難病が原因となっていることもあり、ただの下痢と軽く見ていると大変なことになるからです。
PAGE TOP