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薬疹

薬疹の治療について

薬疹とは

薬疹とは、薬を飲んだり注射したりすることで皮膚にできる発疹のことです。その中でも、注目すべきはアレルギー性薬疹です。これは、ごく一部の人が特定の薬に過敏反応を起こす状態です。
過敏反応が起こるまでには通常、薬を摂取してから1〜2週間かかります。薬を一度も使ったことがない人には薬疹は起こりませんが、似た薬に反応したことがある場合には要注意です。

薬疹

薬疹の原因

さまざまな種類の薬によって引き起こされます。一般的には抗菌薬や解熱鎮痛剤が多いですが、ビタミン剤や漢方薬などでも十分起こる可能性があります。薬疹の主要な原因は薬の作用や成分に対するアレルギー反応です。アレルギー性の薬疹は、薬に対する反応を示す人にのみ起こります。アレルギー反応の場合、通常は薬を摂取し始めてから数週間後に症状が現れます。そのため、初めて薬を服用した後2、3日で薬疹が現れることは稀です。

7種類の薬疹

種類①:多型紅斑型

多型紅斑型薬疹は、一般的に抗生剤や痛み止めの服用によって引き起こされる薬疹の一種です。この病型は円形の紅斑が現れる特徴があり、同心円状に拡大するため、まるで弓の的のような形状を示します。また、この病型の特徴として、四肢の遠位部に広がるややぽったりした紅斑が見られることや、口腔内などの粘膜疹が合併、感冒などのウイルス乾癬が背景にあるなどが挙げられます。
主な原因は、抗菌薬や鎮痛剤、抗悪性腫瘍薬などで、医薬品による免疫反応やアレルギー反応が関与していると考えられています。発症メカニズムは複雑ですが、薬物による免疫やアレルギー反応が関与していると考えられます。

種類②:播種性紅斑丘疹型

播種性紅斑丘疹型は薬疹の一種で、一般的なタイプです。この病型では、全身に小さな紅斑や赤い丘疹が広がり、左右対称的に分布します。主に体幹から始まり、四肢の末端に向かって広がる傾向があります。そして、抗菌薬や鎮痛剤、CT造影剤が薬剤が主な原因です。
薬を摂取してから数日後に症状が現れることが一般的であり、発疹が出現した場合、原因となる薬剤を中止することで通常は1週間以内に症状は改善します。ただし、薬剤中止後数日間は症状が悪化する点には注意が必要です。
症状が軽度の場合は、薬剤中止だけで改善することがありますが、症状が重い場合は、かゆみ止めや抗ヒスタミン薬の内服、またはステロイドの外用薬が必要となることがあります。

種類③:蕁麻疹型

蕁麻疹型は皮膚に発疹やかゆみが現れる症状です。このタイプの薬疹では、かゆみや発疹の出現から始まり、蕁麻疹による腫れや赤みが生じます。時には唇が腫れたり、息苦しさを感じたりするなどの緊急性が高いケースもあるため、注意が必要です。蕁麻疹型薬疹は、薬剤が体内に取り込まれた後、皮膚でアレルギー反応が起こることによって引き起こされます。

種類④:扁平苔癬(へんぺいたいせん)型

扁平苔癬(へんぺいたいせん)型薬疹は、皮膚に現れる薬疹の一種で、主に高血圧薬の副作用として知られています。血管拡張剤や脳代謝賦活剤によって引き起こされることもあります。このタイプの薬疹は、薬物を服用し始めてから皮疹が現れるまでに、比較的長い期間(半年から数年)を要することがあり、そのために薬疹であると認識されづらいです。皮膚の表面が平らで小さな丘疹を形成し、それが融合してざらざらとした鱗屑(一般的にはふけ)を伴うことが特徴です。また、口腔粘膜や性器にも症状を示すことがあります。左右対称に分布し、手関節の屈側面や下肢、体幹などに好発することがあります。初期病変は直径2〜4mmの辺縁で角ばりがあり、横から光を当てると特徴的な光沢が見られます。

種類⑤:固定薬疹型

固定薬疹は解熱剤や風邪薬などが原因となります。同じ部位に繰り返し現れる特徴があり、皮疹が繰り返されるにつれて症状が強くなります。
症状は口唇や外陰、肛門、四肢などに出現し、境界がはっきりとした赤紫色の斑点を形成し、腫れやかゆみを伴います。また、病変は円形から楕円形で、直径1〜10cmの大きさであり、水疱やびらんを生じることもあります。
原因薬を中止すると、数週間後には治癒しますが、再び原因薬を服用すると症状が拡大し、色素沈着が濃くなります。原因薬剤には、NSAIDやテトラサイクリン、サルファ薬、フェナセチンなどががあります。

種類⑥:光線過敏型

光線過敏型薬疹とは、薬物の摂取後に皮膚が日光に当たることで発生する薬疹の一種です。外用剤を使用した部位に日光が当たると、「光接触皮膚炎」と呼ばれる水ぶくれや掻痒(そうよう)感などの皮膚症状が現れます。
一方、内服薬を摂取後に皮膚が日光にさらされると、広範囲に発疹が起こるのが「光線過敏型薬疹」です。これらの症状は、薬物が体内で光を吸収し、皮膚や眼においる有害反応によって起こります。紫外線が強くなる春から初夏にかけての時期に増加傾向にあります。特に、外用薬では塗り薬や湿布薬、内服薬では特定の成分を含む薬剤が原因とされています。
薬疹が発生した場合は、まず原因となる薬剤の使用を中止し、適切な処置を行うことが重要です。

種類⑦:ざ瘡型

ざ瘡型薬疹とは、副腎皮質ホルモンやビタミンB12などが原因となる病態です。
これは、毛穴に炎症を引き起こし、ニキビ様の皮疹が顔以外にも現れる特徴があります。主に治療開始後1〜2週間目に症状が現れ、急速に悪化することがあります。
皮疹は顔や頭部だけでなく、体の他の部分にも現れるため、注意が必要です。特に、顔の鼻や口の周り、おでこ、あご、頭部などには注意が必要です。

薬疹の3つの合併症

合併症①:スティーブンス・ジョンソン症候群 (SJS)

スティーブンス・ジョンソン症候群は高熱と皮膚、粘膜の境界部に紅斑や水疱が出現し、さらには眼の合併症を伴うことがあります。紅斑や水疱は簡単に破れ、びらんとなります。この症候群は主に薬剤の服用が原因となりますが、マイコプラズマ感染症なども関与することがあります。
発症しやすい薬剤としては、消炎鎮痛薬や抗菌薬、尿酸を下げる薬、抗てんかん薬などが挙げられます。診断基準は皮膚の紅斑や水疱だけでなく、眼や口唇、外陰部などの粘膜に重症の病変が見られることや、発熱が伴うことなどが含まれます。重篤な症状を引き起こし、眼や粘膜の障害だけでなく、呼吸器や肝臓などの合併症を引き起こす可能性があります。発生頻度は年間100万人あたり約2.5人と報告されています。また、症状が改善しても後遺症が残ることがありますので、スティーブンス・ジョンソン症候群が疑われたら速やかに医師の診察を受けることが重要です。

合併症②:中毒性表皮壊死症 (TEN)

中毒性表皮壊死症(TEN)は、最も重篤な薬疹の一つです。皮膚や粘膜に赤い斑点や水ぶくれ、ただれが広範囲で見られ、全身倦怠感や高熱が現れる病気です。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と同一に考えられることがありますが、中毒性表皮壊死症はSJSが最も重症化した形態です。
原因としては、消炎鎮痛薬や抗菌薬、尿酸を下げる薬、抗てんかん薬などが挙げられます。広範囲な紅斑と体表面積の10%以上の水ぶくれやただれ、表皮の剥離などが見られるとTENと診断されます。発症メカニズムについては、免疫やアレルギー反応が関与すると考えられていますが、詳細なメカニズムは不明です。発生頻度は年間100万人あたり0.4〜1.2人と報告されています。

合併症③:薬剤性過敏症症候群 (DIHS)

薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、抗けいれん薬など特定の薬を長期間摂取後に発症する病気です。発熱や赤い斑点が特徴で、皮膚の症状だけでなく、肝臓や腎臓などの多臓器障害も起こることがあります。発症までには2〜6週間以上(多くは3週間以上で平均4週間)かかる場合が多く、一度発症すると症状が持続します。
原因となる薬剤を中止しても、症状が改善せず、さらに悪化することもあります。さらに、薬剤性過敏症症候群では、体内に潜伏しているヘルペスウイルスの再活性化も特徴的です。原因となる薬剤は主に抗けいれん薬や尿酸を下げる薬などです。この病気は複雑なメカニズムによって引き起こされるため、治療が難しく、再発のリスクも高いことから早期の診断と適切な治療が重要です。

薬疹の治療法

薬疹の治療は、原因となる薬剤の中止が第一です。軽度の反応では、かゆみを和らげるために抗ヒスタミン薬やコルチコステロイドクリームが使われることがあります。重度の場合には、静注薬や入院が必要となることもあります。抗ヒスタミン薬やステロイドの内服・外用剤が痒みを抑えるために用いられます。
軽症や中等症の場合は、薬剤の中止とともに約10〜14日程度で症状が収束することが多いです。重症薬疹では入院し、SJSやTENなどの場合には集中的な治療が必要です。アレルギー性の薬疹では、原因薬の中止に加えてステロイド薬の服薬やパルス療法が行われることもあります。治療が効果を示さない場合には血漿交換療法が行われることがあります。

薬疹のよくあるご質問

Q質問①:薬疹治療は医療費の免除がありますか?

A
医薬品副作用被害救済制度は、医療機関で処方された医薬品の使用にもかかわらず、副作用によって健康被害を受けた方を支援する公的な制度です。
この制度は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)によって管理されています。健康被害の範囲は、入院治療が必要な疾病や日常生活の制限が著しい障害、そして死亡を含みます。救済を受けるためには、医師の診断書や投薬証明書などの書類をPMDAに提出する必要があります。提出された書類をもとに医学的および薬学的な判断が行われ、健康被害が医薬品の副作用によるものかどうかが判定されます。判定結果に基づいて、救済給付の可否が決定されます。

Q質問②:薬疹を起こさない薬はありますか?

A
現時点では、そのような薬剤は存在しません。薬疹が現れた場合に治療薬として用いられるステロイドでさえ、副作用により薬疹を引き起こすことがあります。どんな薬剤で、どんなに少量の投与であっても、体内に異物を入れる以上、薬疹の副作用を完全に否定することはできません。
病院で処方される薬は、アレルギー発症率を調べた上で販売許可されています。一方で、民間薬や漢方薬は先述したデータがないため、薬疹の頻度が不明確なのが現状です。

Q質問③:薬疹の診断はどのように行われますか?

A
薬疹の診断は、患者の発疹や経過を詳しく尋ねることから始まります。発疹が出現したタイミングや内服した薬の種類、そして過去に同様の反応があったかを確認します。
ただし、多くの場合、患者は詳細な情報を覚えていません。そのため、薬物が原因かを特定するのは難しいことがわかります。医師は血液検査や皮膚生検を行い、原因薬を特定するために努めます。血液検査では白血球数や好酸球数などが参考になりますが、特に薬疹を確定診断する検査法はありません。症状が消えるかどうかを確認するために、原因薬の中止が行われることもあります。
診断には時間がかかることもありますが、患者の安全を最優先に治療が行われます。
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