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浮腫

浮腫の治療

浮腫とは

浮腫とは、血液中の水分が正常ではなく血管の外に漏れ出た結果、皮膚やその下の組織に水がたまる状態を指します。特に、足やすねに圧をかけた時、その跡がすぐに戻らない場合、体内には通常よりも5〜10%多い水分が存在していることが示唆されます。例えば、体重60kgの人であれば、浮腫がある状態では体重が63〜66kgに増加していると考えられます。

この症状は、通常、動脈から組織に流れ出た水分が役目を終えた後、静脈やリンパ管を通じて回収されますが、何らかの原因でこれらの回収がスムーズに行われない場合に見られます。身体の中でも、特にまぶた、顔、手足、喉頭などが浮腫みやすい部位として知られています。

このように浮腫は、日常生活においてしばしば見られる症状ですが、その背後にはさまざまな原因が潜んでいる可能性があります。

浮腫

浮腫の10つの原因

原因①:生活習慣

足は重力の影響を受けやすく、血液が溜まりやすい部位です。運動不足や長時間の立ち仕事、デスクワークが原因で、足の血液が心臓へ戻りにくくなり、結果としてむくみが生じます。

また、食生活においても、塩分や水分の摂取過多の食生活は、体内に水分を溜め込み浮腫の原因になるため注意が必要です。

原因②:貧血

貧血とは、赤血球が正常より少なくなり、酸素を各臓器に十分に運べない状態を指します。この状態を補うため、体は血液の量を増やそうとし、その結果、静脈内の圧力が上昇します。圧力の上昇は、水分が血管から組織に漏れ出しやすくなり、結果として浮腫を引き起こします。

原因③:心不全・腎不全

心不全では、心臓のポンプ機能が低下し、血液が全身に十分に送り出せず、使われた血液が心臓に戻りにくくなります。その結果、血液中の水分が血管外に漏れ出し、むくみが発生します。この時、息切れや呼吸困難などの症状が現れることがあります。

一方の腎臓の機能が低下し、不要な水分や塩分を排泄できなくなります。これにより、体内に水分が溜まり、むくみが生じることになります。

原因④:薬剤性

一部の薬の副作用によって起こるむくみのことを指します。

薬剤性の浮腫は、副腎皮質ステロイド、非ステロイド抗炎症剤、カルシウム拮抗剤(高血圧の薬)、ピオグリタゾン(高糖尿病薬)など、特定の薬剤によって引き起こされることが一般的です。

例えば、高血圧治療薬のカルシウム拮抗剤や高糖尿病薬のピオグリタゾンを服用している場合、薬剤性の浮腫に悩まされることがあります。このような症状が現れた場合、医師の指示のもとで薬剤の変更や中止を検討することが、症状の改善につながることがあります。

原因⑤:低栄養、低タンパク血症

浮腫は、栄養不足や低タンパク血症が原因で起こることもあります。

栄養が不足すると、体内のタンパク質量が減少し、血液中のアルブミン値も低下します。アルブミンは血管内の水分を保持する役割があるため、その濃度が下がると、水分が血管外へ漏れ出しやすくなります。これが浮腫の主なメカニズムです。

低タンパク血症は、食事からのタンパク質摂取が不足している場合や、腸や腎臓の疾患によってタンパク質が失われてしまう場合に見られます。肝硬変や腎不全などの病気でも同様の症状が現れます。

原因⑥:局所的な炎症

打撲や関節炎、蜂窩織炎など様々な炎症によって浮腫が引き起こされます。

例えば、蜂窩織炎では、細菌が足に侵入し、炎症を起こして赤く腫れ上がり、熱を持つことがあります。また、湿疹や皮膚炎などの皮膚病変によっても浮腫が生じることがあります。

原因⑦:下肢静脈瘤・深部静脈血栓症

下肢静脈瘤は、足の静脈が膨らんでしまう病気で、静脈内の弁の機能不全が血液の逆流を招き、足にむくみが生じます。足が重だるく感じられることが多く、見た目にも明らかな膨らみが現れることが特徴です。

一方、深部静脈血栓症は足の静脈内に血栓が形成される病気で、主に長時間の安静や移動が原因で起こり、肺塞栓症などの重大な合併症を引き起こすリスクがあります。

原因⑧:リンパ浮腫

リンパ浮腫には、1次性リンパ浮腫と2次性リンパ浮腫の2種類があります。

1次性リンパ浮腫は生まれつきリンパ管がうまく発達していないケース、2次性リンパ浮腫はがん治療の放射線や手術が原因で起こります。主に足に影響が現れ、場合によっては両足に症状が出ることもあります。

リンパ浮腫の症状は徐々に進行し、皮膚が硬くなることで、いわゆる象皮病(皮膚の表面が 硬くなり、象の皮膚に似た状態になること)に至ることもあります。

原因⑨:生理や妊娠に伴うむくみ

生理前や妊娠中の女性はホルモンバランスの変動により、この症状が現れやすくなるとされています。具体的には、生理周期や妊娠に伴う女性ホルモンの変化が、体内の水分を保持しやすくさせ、結果的にむくみへとつながるのです。

加えて、妊娠中には血液の量が増加するため、むくみが生じることがあります。これは、胎児に必要な栄養や酸素を送り届けるため、また出産時の出血に備えるための自然な反応です。

さらに、子宮の成長による血流の圧迫や運動不足が、足のむくみの原因となることもあります。

原因⑩:甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの不足により体内の代謝が低下する症状のことです。甲状腺機能が低下すると、甲状腺ホルモンの生成が不十分になり、結果として体内の水分バランスが崩れて浮腫になるのです。

浮腫の2つの種類

種類①:全身性浮腫

全身性浮腫とは、体の多くの部位にわたって水分が異常に溜まり、腫れる状態です。

原因として、心臓や腎臓、肝臓の機能不全、栄養不良、さらには甲状腺機能低下症など様々な健康問題が挙げられます。これらの疾患は、体の水分バランスを調整する機能に影響を与え、結果的に全身にわたる浮腫を引き起こします。

具体的な症状として、手足や顔、さらには腹部にも腫れが見られることがあります。また、皮膚を押すとへこんだ跡が残る「圧痕性浮腫」や、体重の増加、呼吸困難など、日常生活に支障を来すような症状も伴います。

種類②:局所性浮腫

局所性浮腫とは、体の特定の部位のみに水分が異常に溜まり、腫れる状態です。

原因として、外傷や感染症、アレルギー反応、静脈やリンパの流れの障害などがあります。例えば、足首を捻挫した場合や虫刺されによる反応、長時間同じ姿勢でいた結果起こる静脈の流れの悪化などが挙げられます。また、リンパ液の流れが悪くなるリンパ浮腫も局所性浮腫の一例です。

具体的な症状として、腫れた部位の皮膚が張った感じになり、触ると痛みや違和感を感じることがあります。また、腫れた部位の機能に影響が出ることもあり、例えば足が腫れた場合には歩行が困難になることがあります。

浮腫の症状

具体的な症状として、腫れた部分の皮膚がパンパンに張り、時には圧痛や赤みを伴うことがあります。また、その部位を押すとくぼみができる圧痕性浮腫が見られることもあり、これは水分が皮下組織に溜まっていることを示しています。

このように、浮腫は日常生活においても起こり得る症状であり、早期の発見と対応が大切です。特に、長時間同じ姿勢でいることが多い方や、特定の健康問題を抱えている方は、この症状に注意が必要です。

浮腫に有効な施術・治療方法

浮腫の治療法は以下の通りです。

・原因の特定と治療:浮腫の原因が心不全、腎疾患、肝硬変などの内科的な疾患である場合、その根本的な治療が必要です。例えば、心不全であれば利尿剤の使用や食塩制限が行われることがあります。
・生活習慣の改善:塩分の摂取制限や適度な運動を行うことで、体内の水分バランスを整えることができます。特に、長時間同じ姿勢を保つことが多い方は、定期的に体の位置を変えたり、軽いストレッチを行うことが推奨されます。
・圧迫療法:浮腫が下肢に見られる場合、圧迫ストッキングや包帯を使用して圧迫することで、血液やリンパ液の循環を促進し、浮腫を軽減することができます。
・薬物療法:利尿剤を使用して余分な水分を排出する方法があります。しかし、利尿剤の使用は医師の指示のもとで行う必要があり、過度の使用は脱水や電解質のバランスを崩す原因となるため注意が必要です。
・リンパマッサージや運動療法:浮腫がリンパ系の問題によるものである場合、専門のマッサージや運動療法によってリンパの流れを改善し、浮腫を軽減することが可能です。
・漢方薬の服用:漢方薬は、体質や症状に応じた処方が行われるため、浮腫の原因に応じた効果が期待できます。例えば、体の冷えや血行不良が原因の場合は、温補作用のある漢方薬が用いられることがあります。

浮腫の治療は原因に対するアプローチが重要であり、自己判断での治療よりも専門家の診断と指導のもとに行うことが重要です。

浮腫のよくあるご質問

Q浮腫の方は日常生活で気をつけることはありますか?

A
日常生活では浮腫のある部分のスキンケアをすることが大切です。

浮腫部位の皮膚はパンと張っており、乾燥しやすく、バリア機能が低下しています。そのため、少しの刺激でも傷つきやすく、回復も難しくなります。この状況において、皮膚の清潔と保湿は非常に大切になります。

まず、洗浄には肌のpHに近い低刺激性の洗浄剤を使用し、泡立てた洗浄剤で優しく洗い、皮膚に洗浄剤が残らないようにぬるま湯でしっかり洗い流します。これにより、皮膚を清潔に保ちつつ余計な刺激を避けることができます。

次に、保湿は入浴後や手洗い後に無香料・無添加の保湿剤をこまめに塗布することがポイントです。これにより、乾燥しやすい皮膚を保護し、柔軟性を保つことができます。

Q浮腫がでやすい部位はどこですか?

A
浮腫がでやすい部位は、以下の通りです。

・まぶた
・顔面
・腕や手指
・下肢(下腿や足部)

長時間の立ち仕事や飛行機での長距離移動などが原因で、血液や体液の循環が不十分で浮腫が生じます。また、睡眠中の姿勢や塩分過多など日常生活動作や習慣に沿った部位が浮腫になることもあります。

Q浮腫の予防法について教えてください。

A
浮腫の予防には、日常生活の中でいくつかの工夫をすることが大切です。以下に、具体的な予防法を紹介します。

・塩分の摂取を控える:塩分は体内の水分を保持しやすくするため、過剰な摂取は浮腫の原因となります。加工食品や外食に含まれる隠れた塩分にも注意しましょう。

・定期的な運動:適度な運動は血液循環を促進し、浮腫の予防につながります。特に、歩行や水泳などの有酸素運動がおすすめです。

・長時間同じ姿勢は避ける:長時間座りっぱなしや立ちっぱなしは浮腫の原因になります。定期的に体勢を変える、簡単なストレッチや足踏みをするなどして、血液の循環を良くしましょう。

・足を高くする:寝る時や休憩時に足を心臓よりも高い位置にすることで、下肢への血液の流れが改善され、浮腫を予防できます。

・圧迫ストッキングの使用:特に下肢の浮腫が気になる方は、医師の指示のもとで圧迫ストッキングを使用することで症状の緩和が期待できます。

これらの予防法を日常生活に取り入れることで、浮腫のリスクを低減し、健康な体を維持することができます。
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