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逆流性食道炎

逆流性食道炎の治療について

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、胃の中の胃酸や食べ物が食道に逆流し、炎症を引き起こす病気です。食道と胃の境界には下部食道括約筋があり、通常はこの筋肉が緩むのは食べ物を飲み込む時のみですが、何らかの原因で不適切に緩むことで逆流が発生します。

この状態が逆流性食道炎で、胃酸が食道の粘膜にダメージを与え、胸焼けや呑酸(どんさん)、のどの違和感、慢性的な咳などの症状を引き起こします。

寝ている間に症状が現れることが多く、食後すぐに横になると症状が悪化することがあります。現在、日本では成人の5人に1人がGERD(胃食道逆流病)に罹患していると考えられ、その数は約1,000万から1,500万人に上ります。

食生活の変化や現代の生活習慣がこの病気の増加に影響しているとされています。逆流性食道炎は放置すると食道の潰瘍やびらんを引き起こす可能性があり、重症化すると非びらん性胃食道逆流症へと進行することもあります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎の原因

食道裂孔ヘルニア

逆流性食道炎の一つの原因に、食道裂孔ヘルニアがあります。食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が横隔膜の裂孔を通って胸腔内にはみ出る状態で、これにより食道と胃の間の自然な閉鎖機構が弱まり、胃酸が食道に逆流しやすくなります。

特に、食後に脂っこいものを多く摂取したり、過食をした後に症状が顕著に現れることが多いです。また、横になる姿勢や前屈みの体勢も逆流を促進します。

逆流による主な症状は胸焼けや胸部の違和感、さらには咳き込みや喉の違和感です。食道裂孔ヘルニアが存在する場合、食べ物がつかえる感じや、食物がのどまで戻ってくることもあります。これらの症状は、日常生活において大きな不快感を与え、治療が必要となることもあります。

高齢者に多い食道裂孔ヘルニアは、重篤な場合には手術が推奨されることもあります。手術では、ヘルニアの修復としてメッシュを使用し、逆流を防ぐための対策が施されます。このように食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎のリスクを高める重要な因子であり、適切な診断と治療が求められる状態です。

腹圧(肥満・姿勢など)

逆流性食道炎の原因の一つとして、腹圧の増加が挙げられます。腹圧が上昇すると、胃にかかる圧力が強まり、食道の入り口である噴門部にも圧力がかかります。これが胃酸が食道に逆流し、逆流性食道炎を引き起こす主なメカニズムです。

腹圧を上げる要因には、肥満、妊娠、前屈みの姿勢、締め付ける衣類(ベルトやガードル)、重い物を持ち上げる動作などがあります。

特に肥満は内臓脂肪が増えることにより、自然と腹圧が高まり、これが逆流を促進します。姿勢の悪さ、特に猫背や長時間の前屈みも、腹部に圧力を加え、同様の影響を及ぼすことが知られています。

このような状態を改善するためには、適切な体重管理と姿勢の改善が必要です。また、過度な締め付けを避けることや、食事の内容を見直し、食後すぐに横にならないようにすることも、逆流のリスクを低減させる効果的な対策となります。腹圧を意識した生活習慣の見直しは、逆流性食道炎の予防に寄与します。

食習慣

逆流性食道炎の発症には食習慣が深く関わっています。高脂肪食を頻繁に摂取する人は逆流性食道炎を発症するリスクが高いです。高脂肪食を摂取することで、コレシストキニンというホルモンが分泌され、このホルモンの作用により下部食道括約筋が一時的に緩むため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。加えて、肥満による腹圧の上昇も胃酸の逆流を促進する要因となります。

アルコールの摂取も同様に下部食道括約筋を弛緩させる効果があり、逆流のリスクを増加させます。さらに、喫煙は胃酸の分泌を促進し、逆流性食道炎のリスクを高めます。ニコチンは胃液の分泌を増加させるため、過剰な胃酸が食道逆流を引き起こす原因となります。

これらの要因を理解し、1回の食事量を減らす、食べすぎや早食いを避ける、アルコールや脂っこい食べ物の摂取を控えるなどの対策を講じることが、逆流性食道炎の予防につながります。

老化に伴う筋力低下

加齢による下部食道括約筋の機能低下は逆流性食道炎の原因の一つです。下部食道括約筋は、胃と食道の境界に位置する筋肉で、食べ物や胃酸が食道に逆流するのを防ぐ役割を持っています。しかし、加齢とともにこの筋肉は衰え、その結果として逆流が起きやすくなります。

さらに、加齢によって食道の蠕動運動も低下します。蠕動運動は食べ物を胃へと押し送る動きであり、この動きが弱まると食道内に食べ物が留まりやすくなり、逆流性食道炎の発症リスクを高めます。また、加齢に伴い唾液の分泌も減少するため、唾液の胃酸中和作用が低下し、さらに症状を悪化させる可能性があります。

これらの理由から、加齢は逆流性食道炎のリスクを高める重要な因子とされており、年齢と共に進行するこれらの生理的変化に注意が必要です。適切な食事管理と生活習慣の調整によって、逆流性食道炎のリスクを減らすことが可能です。

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎の一般的な症状は胸焼けと呑酸(どんさん)です。胸焼けは、胸の中心部でチリチリとした痛みを感じる状態で、特に脂っこい食事や辛いもの、アルコールを摂取した後に顕著になります。また、呑酸は食べたものが関係なく、酸っぱいまたは苦い味が喉や口にこみ上げる症状です。

さらに、食道から喉にかけての逆流が進むと、喉の違和感や異物感、食べ物が詰まる感じが生じ、場合によっては声のかすれや、喘息を思わせる慢性的な咳が出ることがあります。これらの症状は、夜間や横になった時に特に悪化することが多いです。

逆流性食道炎の症状は、胸の痛みとして現れることもあり、心臓病に似た痛みを起こすことがあります。

逆流性食道炎に有効な施術・治療方法

薬物療法

逆流性食道炎の治療法として、薬物療法が重要な役割を果たします。この療法は、胃酸の過剰な分泌を抑え、食道へのダメージを軽減することに焦点を当てています。

・プロトンポンプ阻害薬(PPI):胃酸の分泌を抑制するために胃のプロトンポンプを直接ブロックします。これにより、胃酸の量が大幅に減少し、食道への逆流が抑えられます。PPIは、その強力な効果から逆流性食道炎の治療で広く使用されています。

・H2ブロッカー:ヒスタミンH2受容体の働きを阻害し、これによって胃酸の分泌を抑制します。これらの薬は胃酸分泌を減らすことで、逆流による食道の炎症を軽減します。

・消化管運動機能改善剤:消化管の動きを活発にし、食物の消化と胃からの排出を促進します。これにより、胃に食べ物が滞留する時間が短縮され、逆流が起こりにくくなります。

・制酸薬:アルミニウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属成分を含み、これらが胃酸を中和することで即効性の症状緩和をもたらします。これらは通常、他の治療薬と組み合わせて使用され、急な胸焼けに対して効果的です。

・粘膜保護薬:食道の粘膜を直接保護し、胃酸やその他の消化液による刺激から粘膜を守ります。これにより、食道炎の治癒を支援し、症状の緩和を図ります。

生活習慣の改善

逆流性食道炎の治療において薬物療法が中心ですが、同時に生活習慣の見直しも非常に重要です。以下は逆流性食道炎の症状を管理し、悪化を防ぐための主な生活習慣の改善策です。

・胃酸分泌を促す食品を避ける:高脂肪食品、アルコール、コーヒー、チョコレートなどの食品は胃酸の分泌を促すため、これらの摂取を控えましょう。

・食事の仕方に注意する:一度に大量の食事を避け、1回の食事量を減らし、間食を控えること。早食いを避け、食後はすぐに横にならないようにしましょう。

・肥満を解消する:定期的な運動と適切な食生活を通じて体重を管理し、肥満を解消することで、下部食道括約筋のゆるみが改善され、胃液の逆流が減少します。

・頭部を高くして寝る:寝るときは頭部を少し高くすることで、重力の助けを借りて胃酸が食道に逆流するのを防ぎます。

・便秘を解消する:定期的な運動と食物繊維を多く含む食事を心がけることで便秘を解消し、腹圧の増加を避けます。便秘は腹圧を高め、胃酸の逆流を促進する可能性があります。

・喫煙習慣を改善する:喫煙は胃酸分泌を促進し、胃の入り口の括約筋を弱めるため、喫煙をやめることが推奨されます。

逆流性食道炎のよくあるご質問

Q逆流性食道炎にはどのような合併症がありますか?

A逆流性食道炎には複数の合併症があり、これらを理解することは症状の早期発見と適切な治療につながります。主な合併症は以下の通りです。

・バレット食道:これは、胃酸の繰り返し逆流が原因で食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織へと変化する病変です。この状態は食道癌への進行リスクを増加させる可能性があり、定期的な医療監視が推奨されます。

・睡眠障害:逆流性食道炎は就寝中に特に症状が悪化することが多いため、睡眠障害を引き起こすことがあります。これには入眠困難、夜間の頻繁な目覚め、昼間の過剰な眠気が含まれます。

・食道炎:継続的な胃酸の逆流は食道の炎症を引き起こし、これが慢性化すると食道炎を発症します。

・食道潰瘍:食道の粘膜が胃酸によって損傷し、潰瘍が形成されることがあります。これはしばしば痛みや出血を伴います。

・食道狭窄:炎症や潰瘍が癒合する過程で瘢痕組織が形成され、食道が狭くなることがあります。これにより食物の通過が困難になる可能性があります。

Q逆流性食道炎は完治しますか?

A逆流性食道炎が完治することは可能ですが、そのためには適切な治療と生活習慣の見直しが必要です。治療を開始してから通常、1〜2週間で症状の改善が見られることが多いです。しかし、内服薬の服用を中断すると、症状が再発することがあります。そのため、逆流性食道炎を根本から治すには、暴飲暴食を避け、過度な飲酒や喫煙を止めることが効果的です。また、肥満の場合は適性体重まで落とすことが重要で、食道粘膜の炎症が完全に良くなるまでには約8週間かかるとされています。
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